導入事例

シャープ株式会社

プラズマクラスター・ヘルスケア事業部 国内PCI商品企画部 久保田篤氏、福田吉晃氏

花粉にあわせて空気清浄機の運転を制御、空気の質にこだわるユーザーの心をつかむ製品開発に挑む

IoTで人に寄り添う家電づくりを進めるシャープ株式会社。プラズマクラスターを搭載した空気清浄機と花粉や湿度などの気象データをAPI連携し、AIによる運転制御や音声アドバイスをおこなっています。気象データを活用したクラウドサービスの開発について、シャープ株式会社の久保田篤氏と福田吉晃氏にお伺いしました。

空気の状態の「見える化」や環境に応じた自動運転を実現するべく、気象データに注目

空気清浄機をはじめとしたプラズマクラスター搭載製品は、2000年に発売して以来、約20年で1億台の世界累計出荷を突破しています。水素のプラスイオン(H+)と酸素のマイナスイオン(O₂−)を放出して安定したクラスターイオンを生み出す技術でウイルスやニオイ、静電気を除去し、コアンダ効果を応用した気流で部屋の花粉や塵を引き寄せて、キレイな空気を循環させる。そんなシャープ独自の空気清浄機は、空気の質にこだわりを持つ多くのユーザーの心をつかむ商品です。

「2017年には無線LAN搭載の空気清浄機を発売し、同時にWEBアプリもリリースしました。その頃から空気清浄機をインターネットにつなぐIoTの活用を強化してきました」(久保田氏)

シャープ株式会社 Smart Appliances & Solutions事業本部プラズマクラスター・ヘルスケア事業部 国内PCI商品企画部の久保田篤氏(左)と福田吉晃氏(右)
シャープ株式会社 Smart Appliances & Solutions事業本部 プラズマクラスター・ヘルスケア事業部 国内PCI商品企画部の久保田篤氏(左)と福田吉晃氏(右)

「もともと、空気は目に見えないため、浄化後の効果が実感しにくいという課題がありました。そこで空気の状態を見える化したり、お客様の環境にあわせて運転をコントロールするために、花粉やPM2.5、湿度などのリアルタイムの気象データが使えないかと考えました」(福田氏)

24時間ずっと空気を清浄するため、ユーザーが安心できる精度の高い気象情報を選択

ウェザーニューズを選んだ理由は、知名度の高さや気象情報の信頼性だといいます。

「たとえば購入を検討中のお客様と直接お話をする機会があります。『こんなふうに空気清浄機がアプリとも連動しています』とスマートフォンの画面をお見せしたとき、そこに表示された気象データの提供元がウェザーニューズだとわかると、お客様に安心していただきやすいと感じています」(久保田氏)

「梅雨の時期のカビや夏のニオイ対策、冬場の暖房による乾燥対策など、空気清浄機は1年を通じてご活用いただける家電です。花粉シーズンだけでなく、年間を通して24時間稼働させることで、キレイな空気を保ち、生活の質を高めてほしいと考えています。きちんとした裏付けに基づいたうえで、その役割や効果を実感していただくためにも、予報精度の高いウェザーニューズの気象データが必要でした」(福田氏)

AI(人工知能)が好みにあわせて空気清浄機をコントロールしてくれるクラウドサービス「COCORO AIR」と気象データを連携させた結果、多くのユーザーに支持される独自のサービスが生まれました。

プラズマクラスター搭載の空気清浄機
プラズマクラスター搭載の空気清浄機

AIが花粉予報にあわせて空気清浄機の運転をコントロール

具体的には、天気・花粉・PM2.5などの予測データをAPIで取得し、それらの情報を人工知能が蓄積・分析して、自動で運転を最適化しています。 多くのユーザーがもっとも気にする花粉飛散量のデータは「非常に多い/多い/やや多い/少ない」の4段階で提供されます。多い傾向の場合に「花粉運転」に自動で切り替わる仕組みです。

お住まいの地域の花粉飛散量が多い場合は花粉運転に切り替わる
お住まいの地域の花粉飛散量が多い場合は花粉運転に切り替わる

「空気清浄機には数多くの機能がありますが、花粉対策のためにお求めいただくことが比較的多いです。そのため、お客様からは『その日の花粉飛散量に応じて、空気清浄機の運転が花粉モードに変わるのは非常に便利だ』という声をよくいただきます」(久保田氏)

気象データはプラズマクラスター空気清浄機のクラウドサービス対応モデルで活用されている
気象データはプラズマクラスター空気清浄機のクラウドサービス対応モデルで活用されている

人に寄り添うサービスブランドを目指す商品づくりに、ユーザーがお住まいの地域に合わせた花粉情報を活用できる点もメリットを感じているといいます。

「たとえばスギ花粉なら、東北地方に比べると北海道は飛散量が少ないといわれているように、地域によって花粉飛散量は変わります。だとするなら、空気清浄機の運転が全国一律だと違和感がありませんか? 各地域の花粉飛散量に応じた運転ができれば、どのエリアのお客様にも最適な清浄効果を提供できるようになります」(福田氏)

ほかにも、音声発話搭載モデルの場合、住んでいる地域の予報と連動して、天気や花粉情報を音声でお知らせする機能もあります。2023年に販売したお天気キャスターのカスタマイズ音声も好評だったとのこと。

「電子レンジやエアコンと違い、空気清浄機は触れたり見たりする機会が少ない家電です。毎日のお天気や空気の状態を音声でお知らせすることで、快適な暮らしに欠かせないものとなり、自分に適した情報やサービスを届けてくれるものであると認知してもらえるのではないかという期待もあります」(久保田氏)

その日の天気や花粉予報を音声でお知らせ。天候に応じて最適な運転に切り替わる
その日の天気や花粉予報を音声でお知らせ。天候に応じて最適な運転に切り替わる

不動の人気、花粉の機能強化に意欲、家電全体のクラウド連携で便利な暮らしへ

今後もキレイな空気環境を届けていくために、機能強化も考えていきたいといいます。

「販売開始からずっと花粉に関する機能のニーズが高いので、より細かい花粉予報にバージョンアップしたり、花粉の種類や量に応じたユーザーの不安度に合わせた運転ができたりすると、付加価値を高められる可能性があると思っています」(久保田氏)

「また、家電をインターネットにつないでもらえると、それぞれのユーザーの生活にフィットした状態になるのでより便利に使いやすくなります。シャープでは家電全体のクラウド連携を進めているので、気象データを活用する幅を広げて、たとえば空気清浄機とエアコンを『洗濯指数』という軸で連携させた使い方を提案するなど、ユーザー目線の新たなサービスを開発していきたいです」(福田氏)

AIとIoTの独自技術で進化するスマート家電を開発し、ユーザーの気持ちに寄り添って、便利でかしこい暮らしをサポートするシャープの挑戦はこの先もまだ続いていきます。

シャープ株式会社

事業内容

電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般ならびに電子部品の製造・販売など

特徴

空気清浄機のクラウドサービス「COCORO AIR」と花粉や天気予報をデータ連携

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