自治体などが管理する屋外照明(道路灯や街路灯)には、主に水銀灯が用いられていますが、省エネやCO2排出削減を図るためにLED化が進められています。環境省は、LED街路灯を整備するにあたり、街路灯を通して観測データを広範囲に取得できれば、幅広く地域に貢献する次世代公共インフラとなると考えました。そこで、街路灯の新たな付加価値を検討するため、ソーラー街路灯とウェザーニューズの気象IoTセンサー「ソラテナ」を用いた日射量予測の精度評価を開始しました。
観測データで日射量の予測精度を向上させる
今回は、NECと協業し、株式会社リーフライトのソーラー街灯に通信機能とセンサー機能を追加し、ウェザーニューズの「ソラテナ」の気温・風向・風速の観測データを用いて、日射量の推定を試みています。この推定日射量で日射量予測データを補正し、補正する前や日射計による実況データと比べて精度評価しています。

太陽光発電事業の安定には、高精度な日射量予測が必要不可欠
最近では、電力の需給調整市場の開設や卒FITなどにより、太陽光発電の事業性の安定が求められるようになり、太陽光発電量予測の重要性が高まっています。
一般的に、太陽光発電量予測には衛星画像や気象予測モデルが使われていて、実況データで補正することで予測精度を高めようとされています。しかし、気象庁による全天日射量の観測地点は全国50カ所しかありません。もっと多くの観測データを収集できれば、日射量や太陽光発電量の予測精度は向上すると考えられています。

ソーラー街路灯+ソラテナは可能性を秘めた未来のインフラ
本検証を通して、今後、ソーラー街路灯とソラテナが全国で整備されることで、より安全で便利なスマートシティが実現することを期待しています。
カメラや気象センサーやインターネットが一体となって街をつなぐことで、太陽光発電量予測における活用だけでなく、学校や市区町村の施設向けの熱中症アラート、スマート農業、防犯、避難誘導、自動運転支援など、幅広く活躍する次世代公共インフラとして大きな可能性を秘めています。