企業の熱中症対策の義務化や猛暑の深刻化によって、建設業界ではセンサーやAIカメラなどのデジタル技術を活用した安全管理が急速に進んでいます。しかし、現場ではアラート通知が多いと感じたり、スマホが持ち込めなかったりと、運用上のミスマッチが生じることもあります。いかに運用を最適化して現場の熱中症をゼロにするか。GRIFFYは大林組とともに、ウェザーニューズの暑さ指数(WBGT)のデータを活用してこの課題に挑んでいます。株式会社GRIFFY 企画部の製品企画グループ グループリーダーの都鳥真也氏と営業部 東京営業所 主任の島名俊輔氏にウェアラブルデバイスを用いた最新の熱中症対策について伺いました。
ウェザーニューズの「暑さ指数」を選んだ理由は、高い精度と信頼性
GRIFFYが株式会社大林組と共同開発した体調管理ソリューション「GenVital LTE」(NETIS登録番号:KT-240128-A)は、作業員が装着するスマートウォッチから心拍数と位置情報を取得。これらのバイタルデータに暑さ指数を掛け合わせ、独自のアルゴリズムによって正常、注意、警戒、危険(アラートが継続すると「緊急」表示)で体調を判定します。

この判定の要となる暑さ指数の部分で、同社が選んだデータがウェザーニューズの「熱中症情報API」でした。

「これまでは作業現場ごとに暑さ指数を測る機器を設置するケースが多かったですが、コストや手間、そして広い作業現場は隅々まで観測する大変さが課題となっていました。一方で、心拍数や皮膚温度の変化などのバイタルデータのみに頼ってしまうと、単なる作業負荷なのか熱中症リスクなのかの判別が難しく、不要なアラートを招いてしまいます。そのため、精度が高くて信頼できる暑さ指数のデータを求めて、ウェザーニューズの『熱中症情報API』に辿り着きました」(都鳥氏)
「熱中症情報API」は、1kmメッシュの高解像度で暑さ指数の数値や、5段階の判定結果(ほぼ安全〜運動中止)のデータをAPIで提供しています。

「APIで簡単に連携できるうえに、1㎞四方という非常に細かい単位で高精度の暑さ指数を取得できました。『ウェザーニューズ』という気象のプロフェッショナルによる客観的なデータを使うことで、多くの現場の信頼獲得に直結する点も導入の決め手となりました」(島名氏)
1kmメッシュの暑さ指数とバイタルデータの活用で、本当に危ない瞬間を見逃さない
2025年の夏には、約4,500台の「GenVital」が熱中症対策に活用されました。
「他社製品には、心拍数や推定深部体温などのバイタルデータのみで熱中症リスクを測るものも多いため、階段を上っただけで警告が出るなど誤検知も少なくありません。とくに近年の酷暑では、現場で『アラート音が鳴りやまない』という問題も頻繁に生じていたようです」(島名氏)
このハイブリッドな判定で検知精度を高めたことで、不要なアラートを抑制。“本当に危ないときだけ”をより確実に捉えられる精度の高さは、作業現場における大きな安心材料になっています。
2024年は大林組の3000人が利用して、熱中症発症者ほぼゼロの実績
実際に大林組の現場で活用して、暑さ指数のデータ活用の有用性も検証しています。本格導入前の2024年、大林組の59現場で延べ3,000人が「GenVital」を利用した結果、熱中症の発症者はわずか2人で、発症率は0.06%。他社製品を利用した現場の発症率0.3%と比べて、5分の1以下に抑えることができました。本格的に運用された2025年夏も「発症者ほぼゼロ」の実績を継続しています。

体調に異変があると判定された場合は、デバイスから本人に警告されると同時に、管理者にも即座にメールが届くため、現場でのより迅速な対処につながっているといいます。
「管理者の負担が軽減され、数百人規模の現場でも効率的な安全管理が可能になりました。『熱中症対策は初期コストより精度の高さが重要である』という認識が、現場にも広まりつつあると感じます」(都鳥氏)
作業員の「安全」と「健康」を一元的に守るプラットフォームを目指す
2025年6月の義務化により、熱中症対策デバイスへのニーズはさらに高まっています。しかし同社が見据えているのは、夏場の暑さ対策だけではありません。「GenVital」を、年間を通してあらゆる気象リスクに対応する安全管理デバイスへと進化させようとしています。
「いまもSOS発信や転倒検知を管理者に通知できるようになっています。これに加えて、雨による足場のスリップリスク、落雷や強風の予報、コンクリート養生の温度管理など、気象データとの連携を深めたいと思っています。現場の安全と健康を一元的に守るプラットフォームへと成長させていくことが目標です」(都鳥氏)
気候変動に伴う労働環境の変化と、深刻な人手不足。これらの課題に直面する建設業界において、GRIFFYは気象データを安全の力に変えて、誰もが安心して働ける環境を築いていくことでしょう。






























