株式会社めんつうは、約700種類の生中華麺をラーメン店などの業務用に製造、販売する食品メーカーです。「百のお得意様あれば百通りの麺あり」というモットーのもと、1日20万食ほどの生麺を生産。全国に生麺を配送する際に、企業専用の気象情報「ウェザーニュースfor business」の交通影響予測を活用しています。
生麺の安定した輸送に気象情報がどのように役立てられているのか、株式会社めんつう 常務取締役 山家利洋氏と取締役総務部長 羽田奈都子氏に詳しくお伺いしました。
大雪で立ち往生が起こると麺のお届けが困難に、危険なリスクを回避して全国に安定供給したい
めんつうは受注生産の形で北海道〜沖縄まで全国のラーメン店などの多様なニーズに応えています。本社のある新潟県阿賀野市は雪深い地域として有名で、とくに冬季の物流への影響は大きな課題でした。2022年12月の大雪の際には、新潟県内の国道で立ち往生が発生して10日間ほど交通がマヒし、運送会社の物流センターも機能停止。社員が雪の中をピストン輸送するなど、危険を伴う対応を余儀なくされたといいます。

「常磐道は本社の担当者、東名高速は関東営業所の担当者というように地域ごとに分担してリレー形式でお客様にお届けすることで、なんとかしのぎました。このときの経験から、事前に交通への影響を予測できれば、大雪時だけでなく台風時にもお客様への迷惑や社員の安全面での負担を減らせるのではないかと思い、『ウェザーニュースfor business』を導入することにしました」(山家氏)

道路の通行止めやフェリー欠航のリスクを毎日把握、早めの受注調整で混乱を回避していく
めんつうでは、総務部・出荷部門・チェーン店担当の社員を中心に10名ほどがスマホアプリやパソコン専用ウェブサイトで「ウェザーニュース for business」を利用しています。現在は気象情報とあわせて、運送会社のお知らせや高速道の運行状況、フェリー会社の運航状況を毎日欠かさずに確認。気象情報は、72時間先までの荒天による道路・鉄道・航空・船舶への影響を予測する『交通影響予測』をメインに見ています。
「独自のチェックリストを作成し、最新情報を表に記録することを習慣化しています。危険度が高い場合は製造、出荷、営業担当が集まって会議を行い、受注の調整や配送時間の前倒しをするなどの判断をします」(羽田氏)
「トラックやフェリーで輸送しているのですが、たとえば高速道路網が集中している滋賀県が止まると西日本に流れなかったり、フェリーが欠航すると海峡を渡らないので、物流のリスクを事前に把握するために『交通影響予測』の確認は必須です。

他にも大雨や強風の影響も知りたいので、雨雲レーダーや風の予測も確認します。
冬季は積雪予測、夏季は台風進路予測もそれぞれ参考にしていて、通常は当日や3 日後の納品分の注文を受けることが多いですが、荒天時には1週間先の納品分もまとめて早めに発注いただくように促しています。お客様に『早めに、多めに』という受注調整を促すことができるようになり、欠品の心配も大幅に軽減しています。」(山家氏)

初動対応のスピードアップに効果を実感、導入しやすい費用感と航空便の緊急対応がなくなりコストも削減
「ウェザーニュースfor business」導入後の最大の効果は、初動対応のスピードが上がったことだといいます。
「以前は天候が悪化してから対応していたため、物流の混乱による配送遅延や社員の負担が少なくありませんでした。導入後は毎日データを確認するルーティンが定着したため、事前にリスクを察知し、運送業者の手配や製造量の調整といった初動対応も迅速にできるようになりました」(羽田氏)
「ウェザーニュースfor business」のマップで危険な道路が一目でわかるため、“使い勝手がよく、安心感もある”という社員からの声も上がっているとのこと。荒天を何度か経験しながら活用頻度が高くなってきたことで、社員の安心感が向上し、各部署が適切な行動をとれるようになったことは大きなメリットだといいます。
その他にも配送計画を最適化できることで、コスト削減にも効果があったと話します。
「『ウェザーニュースfor business』はそもそも中小企業でも導入しやすい価格帯で、機能的にも必要な情報に特化してカスタマイズしてもらえています。加えて、事前に予測を立てられるようになったことで、緊急で航空便を使うことがなくなったため、一度の荒天で数万円のコスト削減につながっています」(山家氏)

今後はノウハウを社員に共有、配送だけでなく製麺や販売促進に応用できる可能性も
今後は蓄積してきた知見を社内で共有したり、気象データを物流以外に応用したりすることも考えているといいます。
「社員が情報共有できる機会を設けたり、メインで情報をチェックできる人数を増やしたりすると、社内での気象データ活用のリテラシーを高めることができるのではないでしょうか」(山家氏)

「今は主に物流の用途で活用していますが、製造工程や販売促進にも応用できる可能性はありそうです。たとえば、気温や湿度のデータを麺の熟成管理に活用したり、気温データに基づく需要予測でラーメン店に商品を提案したりといったことにもつながるかもしれません」(羽田氏)
生麺の配送の最前線で気象情報を活用し、お客様への安定供給と社員の安全に大きく貢献しているめんつうは気象データの更なる活用を目指します。
