導入事例

上山市立南中学校

校長 石原敏行先生、教頭 半藤博士先生

デジタル技術で進化する中学校の熱中症や落雷対策、校庭の観測自動化で教職員の働き方も改革

近年、全国的に猛暑やゲリラ豪雨、落雷といった異常気象が常態化し、学校現場では生徒たちの安全確保が大きな課題となっています。こうした背景から、高機能IoT気象センサー「ソラテナPro」を導入した山形県の上山市立南中学校。観測データを活用し、子どもたちの命を守る先進的な取り組みについて、校長 石原敏行先生と教頭 半藤博士先生にお話を伺いました。

学校に何ができるか。勘に頼らない熱中症対策で子どもの命を守りたい

導入の大きなきっかけは、熱中症の疑いで県内の中学生が亡くなった事故でした。

「事故を知った当時、学校に何ができるか、どうすべきかを考えていました。そんななか、先行してウェザーニューズの製品を導入していた山形県米沢市の取り組みを知り、これは素晴らしいと感じました」(石原先生)

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上山市立南中学校の石原校長先生と半藤教頭先生

「ソラテナPro」は、気温・湿度・気圧・雨量・風向・風速・照度の7要素を1分毎に観測する小型の気象IoTセンサーです。観測データをもとに環境省熱中症予防情報サイトに示されている計算式に基づいて「暑さ指数(熱中症リスク)」を算出し、 “注意”、“警戒”、“厳重警戒”、“危険”の4ランクで判定します。校庭などに設置するだけで、学校のモニターや職員のスマホから「暑さ指数」を確認できます。

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学校内に設置された気象IoTセンサー「ソラテナPro」

上山市全体での導入計画は未定だったことから、学校として山形銀行学事振興基金に応募し、補助金を用いて「ソラテナPro」の導入に踏み切りました。それまで長年の勘や熱中症計による手動測定に頼っていましたが、これにより客観的なデータに基づいた、根拠のある判断ができるようになったそうです。

暑さ指数で運動中止を判断するほか、部活動の実施や登下校の安全確保に雷や雨の予報を活用

夏の期間、教員たちは「暑さ指数」をもとに熱中症リスクを判断しており、データに基づいて激しい運動を中止するなどの共通ルールを教員間で徹底しています。その他にも、部活動を実施するかどうかの判断や、生徒の登下校時の安全確保に役立てています。

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職員室のモニターで「ソラテナPro」の観測データを確認する様子

とくに、気圧の急激な低下は天候の急変を予測する上で重要な指標になるため、「気圧」と「風」の急激な変化に気をつけているそうです。また、「ソラテナPro」の利用者は、学校のピンポイントの天気予報や30時間先までの雨雲レーダーなどの天気予報も同じアプリやパソコン画面上で確認できることから、雷雨時は予報もあわせて確認しているといいます。

「7月初旬、下校時刻や校外学習での移動の時間帯にちょうど雷雨が発生したことがありました。落雷レーダーや雨雲レーダーで状況を分析して、生徒を一時的に待機させ、30分後に雨が収まる予想だったため、安全を確認しながら下校・移動を再開しました。このような緊急時の判断に、ピンポイントの気象予報が非常に役立ちました」(半藤先生)

観測自動化で教員の負担を軽減。猛暑のなか校庭へ観測に行かなくていい

「ソラテナPro」を導入したことで教員の負担が大幅に軽減され、働き方改革の観点からもメリットを感じている先生は多いといいます。現在は職員室に新たに設置したモニターを見ながら、気軽に今日の活動について相談したり、保健室から屋外の観測データを確認しているそうです。

「手動での測定は一度にかなりの時間を要し、頻度も多いことから、養護教諭をはじめ先生方の大きな負担となっていました。『ソラテナPro』は観測データを瞬時に手元で確認できるので、この負担が大幅に軽減されたことは非常に大きな効果だと感じています」(半藤先生)

熱中症対策の取り組みは校内だけに留まりません。気象状況が似ている近隣の小学校にも上山市立南中学校の「ソラテナPro」の観測データをリアルタイムに共有し、好評をいただいているそうです。

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保健室で養護教諭が観測データを確認している様子

学校全体で気象データを共有、子どもたちの安全意識を育む「環境教育」へ

今後、上山市立南中学校では職員室だけでなく、玄関にもモニターを設置し、生徒がいつでも気象データに触れられる環境づくりを計画しています。これにより、子どもたち自らが天気や暑さ指数に関心を持ち、自身の安全を守る意識を高める「環境教育」にもつながることが期待されます。

「本校だけでなく、市全体として導入すべき。山形市のように、上山市も小中学校全体で導入できるようにしていきたい」と意気込む上山市立南中学校の取り組みに注目です。

上山市立南中学校

事業内容

中学生への教育活動と学校運営

特徴

児童生徒や教職員の熱中症対策に「ソラテナPro」のデータから算出した「暑さ指数」を活用

規模

1〜50名

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