導入事例

株式会社ニューステクノロジー

広報 林優里氏

タクシーの車窓広告に気象データを連携、日本初のサイネージ広告がSNSで話題に

東京都内で最大規模のタクシー・サイネージメディアを展開する株式会社ニューステクノロジーでは、国内初の車窓モビリティサイネージサービス「Canvas」に、ウェザーニューズ社の気象データ提供・分析サービス「ウェザーテック(WxTech®︎)」を導入。気象連動型のモビリティ広告という新たなコンテンツの開発に役立てています。

株式会社ニューステクノロジー 広報担当の林優里氏にウェザーテックの活用方法や今後の「気象データ×広告」というビジネスの可能性についてお聞きしました。

タクシー窓で「気象データ×広告」、道行く人からの注目度アップ

「都内を走るタクシーの後部座席の窓ガラスに映し出される広告を目にしたことはありますか? それが、Canvasのサービスです」(林氏)

Canvasは「東京の街を、ギャラリーに変える。」をコンセプトに、2021年3月にローンチし、5月末から運用を開始しました。都内を走行するタクシーのサイドガラスに広告を映し出す車窓モビリティサービスは、国内初の試みです。

車内に設置されたプロジェクターから車両後方の歩行者側の窓に映像が投影されます。普通の透明な窓が、乗客が乗っていない空車時にはクリエイティブを掲出する広告面となり、歩行者への広告訴求を図っています。

「タクシーの後方窓ガラスは、歩行者の目線と同じ高さであることから広告を表示する際に視認性に優れています。タクシーは、繁華街やビジネス街など人が集まる場所での利用が多いため、より強い広告インパクトを生み出すこともできます」(林氏)

株式会社ニューステクノロジー 広報担当 林優里氏
株式会社ニューステクノロジー 広報担当 林優里氏

Canvasの広告のターゲットとなるのは、特定の層の人ではなく一般通行人であり、いわゆる“道行く人”。そのため、誰の目にもとまるような公共性の高いメッセージの配信にも活用できるのではないかと考え、広告と公共情報との連動を企画したといいます。

「『道行く人が誰でも興味を持ち、役に立つような公共情報は何か?』をイメージしたとき、当初から社内で候補としてあがっていたのが気象データでした。毎日の生活に関わる気象データは、多くの人にとって非常に関心度の高いコンテンツです。

第一弾の実施を夏に予定していたこともあり、気象データの中でもまずは熱中症情報に注目しました。昨今は身の危険すら感じる猛暑日が増えていることもあり、熱中症に関する情報とクリエイティブを掛け合わせて発信することで、より訴求効果の高い広告を目指したのです」(林氏)

企画からローンチまで1〜2ヵ月のスピード感が導入の決め手

気象データを扱う上で、ウェザーテックを導入する決め手となったポイントは2つあるといいます。

「まずは、導入までのスピードの速さです。ご相談の段階でのメールでのきめの細やかなやりとりにはじまり、結果的に企画から2ヵ月足らずで実施できたのです。日本でも前例のない試みだったにもかかわらず、ウェザーテックの担当部署のみなさんにスピード感をもって取り組んでいただけたおかげで、第一弾の企画もすぐに決まりました」(林氏)

もうひとつは、情報に対する信頼度の高さだといいます。「ウェザーニューズは誰もが知っている気象会社ということもあり、精度の高さはもちろん、情報への信頼性や正確性も抜群です。社内での賛同を得られやすく、広告主やユーザーが安心できるという点も大きなポイントとなりました」(林氏)

「inゼリー」の広告とあわせて熱中症リスクを4段階で掲出

気象データを盛り込んだタクシー窓の広告は、2021年8月に第一弾企画がスタート。熱中症対策にも有効な森永製菓「inゼリー エネルギーレモン」の商品広告を映すデジタルサイネージに、ウェザーテックサービスの「熱中症情報API」を連動させたのです。「熱中症情報API」では、1kmメッシュの暑さ指数(WBGT)をもとに独自に算出した4段階の熱中症危険度情報をAPIで提供しています。

「具体的には、商品広告のメインビジュアル右側に、『明日の熱中症情報』として、熱中症リスクが表示されます。注意喚起のレベルにより『注意』『警戒』『厳重警戒』『危険』という4段階に分けて、それぞれの熱中症リスクに応じたクリエイティブを日替わりで掲出しました」(林氏)

第一弾企画である、「熱中症情報×森永製菓inゼリー」のクリエイティブイメージ
第一弾企画である、「熱中症情報×森永製菓inゼリー」のクリエイティブイメージ

昨今は車内モニターが普及したとはいえ、タクシーでのデジタルサイネージは、主に乗客に対してアプローチする手法のみでした。しかし、車窓サイネージでは、乗車するお客さんはもちろん、通行人にも熱中症予防を呼びかけるメッセージを発信でき、移動手段として活用されるタクシーの役割をより効果的に活用できるのです。

熱中症リスクと連動させて注目度アップ! SNS上でも反響大

「気象データ×広告」をタクシーの車窓で表示する第一弾の企画は奏功し、メディアでの評判も上々。商品の公式ツイッターでは、通常投稿より多い「いいね!」がつくほど、SNS上でもユーザーからの大きな反響があったといいます。

「『タクシーの窓でPR』という広告手法の目新しさから、『こんなタクシーが走っていますよ』などとSNSでも広く拡散されました。話題化に成功したことでクライアントの満足度も高かったようです。

また、サービスをスタートした8月は熱中症への関心が高まる時期でもあり、シンプルに商品広告を出すだけでなく熱中症リスクと連動させたことが、より多くの人の注目を集める結果になったと思います」(林氏)

空車時間を利用したタクシー窓での広告表示は24時間可能。100台のタクシーが東京23区を中心に走行すると、1週間で約300万人にリーチするという試算になるといいます。

「気象データの扱い方次第で、様々なアプローチの仕方があります。車窓サイネージ広告がより広く普及すれば、『気象データ×広告』というビジネスとして新たな収益モデルを構築できるのではないかと考えています」(林氏)

多様な指数と季節商品の組み合わせで広告効果UP

将来的にはタクシーの位置情報を連動させることで、場所や時間の変化によって、よりピンポイントでクリエイティブを表示していくことも検討しているそうです。

UVアイテム(左)や飲料アイテム(右)のクリエイティブイメージ
UVアイテム(左)や飲料アイテム(右)のクリエイティブイメージ

「たとえば、映画館の近くを走行する空車のタクシーの窓に、上映中の映画の宣伝広告やその場所の天気予報が表示されるなど、タクシーの位置情報と連動させることで、よりロケーションや時間帯に最適化したクリエイティブを掲出することも検討中です」(林氏)

また、気象に関するさまざまな「指数」にも着目しているようです。気象関連の指数にはより多方面でのクライアントを想定できるといいます。

「湿度が下がって空気の乾燥が気になる時期になれば『乾燥指数』のデータと合わせ、ハンドクリームなどの保湿アイテムの広告ということも考えられます。また、天気や風向風速から予想する『花粉指数』が、マスクや医薬品との広告効果を高める可能性なども想起できます。

その他にも、『カビ指数』『鍋物指数』『快眠指数』などのユーザーに密着した生活指数を使い分けることで、幅広いクライアントにご活用いただけると考えています」(林氏)

Canvasは、2023年を目処にJPN TAXI(ジャパンタクシー)3000台の導入を目指し、まずは東京都内を中心に段階的に拡大していく予定だというニューステクノロジー。今後も、タクシーと気象データの公共性を活かして、人々の「移動」に伴う体験価値の向上と豊かな社会につながるモビリティサービスを追求し続けます。

株式会社ニューステクノロジー

事業内容

デジタルサイネージ事業、メディアアカウント事業、コンテンツクリエイティブ事業など

特徴

タクシー広告に熱中症情報を導入

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