導入事例

株式会社レンタルのニッケン

デジタルセンター長 峰咲富士朗氏、板橋営業所 営業担当課長 大高太郎氏

建設現場で気象IoTセンサーをレンタル可能に、現場の安全対策や作業効率アップを支える

建築や土木、産業関連機械などの建設機械を中心に、約4700種類、約115万点の商品を賃貸する株式会社レンタルのニッケンでは、高性能気象IoTセンサーソラテナPro®もレンタル商品のアイテムにラインアップされています。建設現場では天気予報や観測データがどのように活用されているのか、ニッケンデジタルセンター長の峰咲富士朗氏と板橋営業所 営業担当課長の大高太郎氏にお聞きしました。

クレーン作業の実施判断に欠かせない風速、正確に数値化したいという現場の声

株式会社レンタルのニッケンは、昨今の異常気象による建設業界の気象のニーズ拡大を背景に、2022年12月から気候変動に関する取り組みでウェザーニューズと協業しています。建設現場向けの観測機や気象データの提供、CO2排出削減量の可視化、BCP商品の販売を進めており、その一環として気象IoTセンサーソラテナPro®をレンタル商品に加えました。

「もともと建設現場では観測機のニーズがありました。ただ、多くの現場で使われているのは高速道路に設置されている“吹き流し”のようなアナログなものであって、おおまかな風速は確認できても、正確な数字や予測といった情報までは確認できませんでした。

ところが、ある現場から『クレーン作業をする際に、正確な風速を計測、予測したい』という問い合わせがありました。クレーン作業は、10分間の平均風速が10m/s以内と決まっています。特に高所での作業は危険が伴うこともあり、それ以上の強風が予想される場合は、クレーン作業を中止しなければなりません」(大高氏)

株式会社レンタルのニッケン 板橋営業所 営業担当課長の大高太郎氏
株式会社レンタルのニッケン 板橋営業所 営業担当課長の大高太郎氏

さらに、建設現場では風速だけでなく、雨量など他の気象データも必要とのこと。

「台風やゲリラ豪雨の場合、足場が濡れて危険になることはもちろん、現場が地下にある場合は大雨が流れ込んで機械が水没するリスクもあり、雨量のデータも重要です」(大高氏)

風速や雨量の他、気温、湿度、気圧、風向、照度といった建設現場の効率化や安全性の向上に関する様々な気象データを1分ごとに観測できるソラテナPro®であれば、幅広いニーズに応えられるということでレンタル商品へのラインアップが決まりました。

「天気予報も見られるのは他社の観測機にはない特徴です。『小型で軽量、設備設置が簡単』という点も、現場の大小を問わずレンタルしていただきやすいので、PRポイントになっています。2023年11月から商談をはじめ、1か月後には設置と同時に観測が始まり、翌年1月から運用スタートというスピード感をもった対応も導入の追風となりました」(峰咲氏)

建設現場に設置されたソラテナPro®。2023年12月から観測を開始した
建設現場に設置されたソラテナPro®。2023年12月から観測を開始した

観測データと天気予報を一括表示、回転灯との連携で熱中症リスクや強風の回避策に

また、レンタルのニッケンでは、騒音振動や水位、pH濁度といった現場環境のデータをひとつのプラットフォームに集約する現場環境一元管理システム「NDX-Cloud」を提供しています。建設現場の安全性や品質を向上させるために開発した独自のシステムです。

「『ソラテナPro®』の観測データは『ウェザーニュース』アプリから確認できますが、『NDX-Cloud』からも閲覧できるように観測データを連携させています。アプリと同様に1kmメッシュのピンポイントな天気予報も合わせて表示することで、現場環境の見える化を進めています」(大高氏)

ソラテナPro®の観測データを含め、現場環境のデータを一元管理するシステム「NDX-Cloud」
ソラテナPro®の観測データを含め、現場環境のデータを一元管理するシステム「NDX-Cloud」

クレーン作業の可否判断をする際もそうですが、建設現場の安全対策や作業効率のアップには天気予報も欠かせません。そのため観測データに加えて、天気予報や雨雲レーダーまで確認できるソラテナPro®のサービスは現場のニーズにマッチすると言います。

「リアルタイムの気象データだけでなく、『これからどうなるの?』という精度の高い予報を同時に確認できることが建設現場では重要です。

夏の建設現場は、気温や湿度、強い日差しの影響で過酷な暑さとなるため、熱中症対策が必須です。2024年春には『ソラテナPro®』で観測された気温や湿度、風速などをもとに『暑さ指数(熱中症リスク)』を算出する機能が追加されました。暑さ指数や風など各種データと回転灯の連携もできるので、熱中症対策としてこまめな休憩や水分補給を一斉に促すなど、事故を未然に防ぐ一助にしていきたいですね。

冬場は、事前に雪予報を把握して、適切な対策を講じることで作業効率のアップにつながります」(峰咲氏)

株式会社レンタルのニッケン デジタルセンター長の峰咲富士朗氏
株式会社レンタルのニッケン デジタルセンター長の峰咲富士朗氏

「また、弊社側でも事前に雪が降るとわかっていたことで、貸し出しの準備を効率化し、より多くの現場で使っていただくことができました。天気によって需要が高まるレンタル商品は他にもあり、今後は気象データをもとにレンタルされそうな商品を事前に把握して、用意しておけるようにしたいと考えています」(大高氏)

一元化された気象情報をアプリで手軽にキャッチして、判断ミスや遅れの改善に

レンタルのニッケンのレンタル商品は、その約7割が建設現場で使う重機や関連アイテムですが、その他にも花火大会やお祭り、コンサートや消防庁による催し物で使う椅子や簡易トイレなど、各種イベントで必要になる機材も数多く取り扱っています。

「建設現場をはじめ、イベントのような多くの人が関わる様々な現場では、いつでも的確な判断を迅速に下すことが重要な課題です。それぞれ見ている気象情報がバラバラでは、同じ認識を共有できないことから、判断に時間がかかってしまうケースもよくあります。『ソラテナPro®』などウェザーニューズ社から配信される共通の情報が周知されれば、判断のミスや遅れが改善できるはずです」(大高氏)

実際、現場からもポジティブな声が届いているといいます。

「今までは、情報の入手先が統一されていなかったので、現場に設置する大型モニターが複数必要でしたが、一元化できたことで必要な情報をひとつの画面で全員が確認できるようになりました。『ソラテナPro®』の観測データと天気予報は、スマートフォンのアプリでも手軽にチェックできるので、慌ただしい作業現場ではとても重宝されています」(峰咲氏)

ソラテナPro®では気温、湿度、気圧、雨量、風速、風向、照度の7つの気象データを1分毎に観測できる
ソラテナPro®では気温、湿度、気圧、雨量、風速、風向、照度の7つの気象データを1分毎に観測できる

ソラテナPro®をレンタルのニッケンから借りる場合、ユーザー側のメリットとしては請求作業に関する漏れなどのミスを抑制できるという点もあります。

「建設現場によっては、数千点にも及ぶ商品をレンタルしていただくケースもあります。膨大なレンタル商品のうち、『ソラテナPro®』など数点だけを別のところに請求するのはミスの原因になりますが、弊社なら他の商品と併せて一括で請求していただけるので、発注や請求作業が効率化できます」(大高氏)

他の商品とあわせてソラテナPro®の貸出や不良時の対応、請求までをまとめて対応可
他の商品とあわせてソラテナPro®の貸出や不良時の対応、請求までをまとめて対応可

気象データを使って、過酷な現場で働く人の安全性や生産性を高める取り組みを追求

回転灯との連携については、全員がスマホをみられる環境ではない建設現場でも安全対策に使ってもらえるような新機能として、レンタルのニッケンからウェザーニューズに相談があり、実現したサービスです。

今後は、季節や天候の影響を大きく受ける建設現場での作業をより効率化していく取り組みの一つとして、現場の気象データを活用した指数の開発にも関心があるといいます。

「例えば、天気や風速・気温などの気象データを駆使して、『現場クレーン作業指数』『現場コンクリート作業指数』などの指数を現場作業に応じて使い分けることで、安全性や作業効率が高められると思います」(大高氏)

建設現場などの屋外で働くことが多い人にとっては、雨や雪、暑さといった天候は作業効率が低下するばかりか、命取りになりかねない大敵です。総合レンタルという形で多種多様な商品やサービスを提供するレンタルのニッケンは、ウェザーニューズと協業することで、建設現場やイベント会場などにおける気象データの活用を推進しながら、現場の安全性や生産性を高めるための取り組みを追求し続けます。

株式会社レンタルのニッケン

業界

事業内容

土木・建築・産業関連機械を中心としたレンタル、自社商品開発・製造・販売・修理道路・工事など

特徴

ソラテナPro®をレンタル商品として取り扱い、現場環境一元管理システムと気象・観測データを連携

利用サービス