導入事例

東武ワールドスクウェア株式会社

取締役総支配人 根本幸央氏

テーマパークの安全対策にアプリ活用、大雪時のミニチュアの除雪や休園判断を最適化

1993年創業の屋外テーマパーク「東武ワールドスクウェア」は、ユネスコ世界遺産に登録されている48件をはじめ、世界22ヵ国と地域、102点の有名建造物を実物の1/25のスケールで精巧に再現している世界建築博物館です。アメリカ、エジプト、ヨーロッパなど6つのエリアに分かれており、来場者はミニチュアサイズで世界一周を味わうことができます。

「東武ワールドスクウェア」は、お天気アプリを企業専用にカスタマイズできる「ウェザーニュース for business」を導入し、年間約35万人の来場者の安全対策やミニチュア展示物の最適な管理に役立てています。テーマパークにおける気象情報の活用方法について、東武ワールドスクウェア株式会社 取締役総支配人 根本幸央氏に伺いました。

天気が変わりやすい立地で、迅速に対応するためには情報の画一化が必須に

東武ワールドスクウェアのある栃木県日光市は、全国第3位という面積の広さと標高差の大きさで知られています。天気が変化しやすい立地で、園内の局地的な天気予報を正確に把握することが困難だったといいます。

「標高367mに位置する東武ワールドスクウェアの西側には、白根山や男体山など2,500m級の山々からなる日光連山があります。この影響で冬期は山塊から乾燥した北西の風が吹きおろして急な降雪があり、春夏期には落雷も発生します。ほんの1㎞移動しただけでも気候が変わるため、栃木県北部や日光市といった広範囲の天気予報だけを頼りに園内の運営するのは厳しい自然環境です」(根本氏)

そのため、ピンポイントな気象情報に基づいた迅速な対応が求められますが、これまでは職員それぞれが異なる入手先から情報を得ていたとのこと。

「情報源が統一されていないと、各職員の考え方や行動の方向性もバラバラになります。安全でスムーズな運営には気象情報の画一化が必須でした」(根本氏)

ヨーロッパゾーンのエッフェル塔やサン・ピエトロ大聖堂。本物さながらの精巧なミニチュアは見ごたえ充分
ヨーロッパゾーンのエッフェル塔やサン・ピエトロ大聖堂 本物さながらの精巧なミニチュアは見ごたえ充分

トライアル期間に使い勝手の良さや、精度の高さを感じられたことが導入の後押しに

2023年3月に本格的に導入する前に、トライアル期間を設けたことで「ウェザーニュース for business」の使い勝手のよさを実感したという根本氏。スマートフォンから必要な情報をすぐに得られることや、利用するなかで予報精度の高さを感じられたことが導入の後押しとなりました。

ほかにも、台風などの一般ユーザー向けの有料機能も利用できることで、今後の予測が立てやすくなったといいます。

「台風の場合は、『交通への影響予測』やウェザーニューズ・気象庁・JTWC(米軍合同台風警報センター)の3つの進路予測を比較できる『3本の予測モデル』を確認します。常に最も台風の影響を受ける場合の予測を”最悪のシナリオ”として想定しておくことで、十分な準備が可能になり、結果としてリスクを下げる判断につながります」(根本氏)

また、アプリを活用することで、パーク運営に影響するゲリラ雷雨や暑さ、寒さ、雪など、事前に対策を立てられる気象リスクの幅が広がりました。

大雪時のミニチュア展示物の除雪作業や休園判断を最適化、職員の連携強化で対策までの時間と労力が大幅に短縮

現在は、管理者と屋外作業の職員を中心に、屋内店舗の責任者など合計30名が毎日アプリを利用しています。

「少しでも気になる天気予報が出たら、SNSの社内グループで関係職員に最新情報をシェアします。時々刻々と変わる天気の変化をみんなで追いかけているので、必要に応じてすぐに対策会議を開けるようになりました」(根本氏)

例えば、夏にゲリラ雷雨が予想される場合は、屋外の職員は事前にポンチョを着ておいて、来場者の傘の保有率を推測しつつ、雨雲レーダーなどを監視して天気の急変に備えています。実際に豪雨やひょうが発生した際には、来場者への傘の提供やテントや屋内施設への避難誘導を行っているといいます。

冬の時期は、雪の予報をもとに営業時間の変更や休園の判断、除雪の準備が行われています。東京都心でも大雪警報が発令された2024年2月6~7日、東武ワールドスクウェアは大雪のために臨時休園となりました。当時、休園の判断にいたるまでに、「ウェザーニュース for business」を次のように活用したといいます。

2月2日: 5~6日の降雪予報を確認。職員への注意喚起+降雪対策のための除雪車やボイラーなどレンタル重機の予約状況をチェック。

2月3日: 13時に1時間予報で降雪予報を確認。SNSの社内グループ「降雪対策情報」で情報を共有し、翌日の対策会議開催を提案。降雪日に出勤予定の職員を確認。

2月4日: 9時に大雪予報を確認。園内は除雪車が必要なレベルの積雪が予想されることや、他県からの来場者や職員への交通影響が危惧されることから、安全を考えて早い段階で6日の休園を決定、休園情報を外部に発信。15時の対策会議では、1時間ごとの天気や降雪量、積雪深、雨雲レーダーなどをシェア。園内の降雪量を想定し、除雪作業の準備を開始。 2月5日: 11時台に降雪を目視で確認。13時台に臨時の対策会議を開催し、閉園時間を1時間早める判断を下す。除雪作業を開始。

2月6日: 休園にして朝から除雪するも、大雪で除雪作業が追いつかない状況。翌日も除雪作業を行うため、2月7日の臨時休園を判断。

「雪の情報をタイムリーに入手することで、状況に応じた適切な判断ができました。自然災害に対する目安や心構えができ、対策会議までの流れが確立されたのは大きな収穫です。職員からの天気予報に基づいた対策の相談や事前作業の報告も増え、より密にコミュニケーションを図れるようにもなりました」(根本氏)

大雪の対策会議では最新の予報を確認し、どのような対策をとるか決断する
大雪の対策会議では最新の予報を確認し、どのような対策をとるか決断する

また、ミニチュアを多数展示する東武ワールドスクウェアでは、除雪車による大掛かりな通路の除雪作業だけでなく、屋外展示物を守る繊細な除雪作業も行われます。

「園内の屋外展示物のミニチュアは、本物の建築物と同じ素材を使用しているものもあって非常にデリケートに扱う必要があります。そのため、ミニチュアへの積雪量によって除雪のオペレーションが細かく変わります。

たとえば積雪量が20㎝以上の場合は、ミニチュアに積もった雪の上半分10㎝をざっくりと除雪した後、ボイラー付きの温水洗浄機を使用して残りの雪をお湯で丁寧に溶かしていきます。このとき、もし翌日の気温が上がる予報なら、お湯でなくても溶けるので、手間のかからない水を選ぶことで除雪時間を大幅に短縮できます。」(根本氏)

このようにアプリを使って職員が強く連携することで、対策を行うまでの時間と労力が大幅に短縮し、来園者や従業員の安全対策の強化や展示物の管理の最適化につながっているといいます。

ほうきやお湯を使ってミニチュアの展示物を丁寧に除雪する
ほうきやお湯を使ってミニチュアの展示物を丁寧に除雪する

将来的にはアイスなどの需要予測にも活用し、パークの収益アップにつなげたい

遠方から来られるお客様にも安心して楽しんでいただけるよう、現在は安全性の向上をメインに活用しており、夏にかけては熱中症情報やひょう予報を運営に取り入れたいと考えています。一方で、将来的には安全対策だけでなく、パークの収益アップにも利用していきたいと話します。

「たとえば、天気によって来場者数が予測できれば、販売する職員数を調整することも可能になるかもしれません。売店で販売するソフトクリームやかき氷のような食べ物の仕入れの予測にも天気予報を活用できたらいいですね」(根本氏)

365日天気の影響を受ける屋外テーマパークならではの「ウェザーニュース for business」活用の可能性はまだまだありそうです。

2024年4月から全てのサイズの愛犬がリードで園内を楽しめる
2024年4月から全てのサイズの愛犬がリードで園内を楽しめる

東武ワールドスクウェア株式会社

事業内容

テーマパークの運営

特徴

屋外テーマパーク「東武ワールドスクウェア」の運営や展示物管理にアプリを活用

規模

51~300名

導入事例をご紹介

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