導入事例

株式会社カインズ

総務部 災害対策グループ グループマネジャー 油藤春行氏

全国230店舗の防災情報をスマホで共有、カインズ専用のカスタマイズで店舗営業の安全性向上に貢献

ベイシア、ワークマン、ハンズなど様々な業種・企業で構成されるベイシアグループ。その中でカインズは全国に230店舗(2022年10月26日時点)を有するホームセンター大手企業。カインズは、店舗の災害対策を強化するため、お天気アプリ「ウェザーニュース」を企業専用にカスタマイズできる「ウェザーニュース for business」を導入しています。

社名の由来でもある「Kindness」をモットーに、地域住民や現場メンバー(従業員)の暮らしの安全を守るために、どのように「ウェザーニュース for business」を活用しているのか、株式会社カインズ 総務部 災害対策グループ グループマネジャーの油藤春行氏に伺いました。

激甚化する気象災害で店舗にも被害発生、カインズ全店舗での気象情報の一元化が急務

2011年の東日本大震災、2018年の大阪北部地震、2019年の令和元年東日本台風など、昨今は大規模災害が頻発しています。カインズでも一部店舗が浸水などの被害を受けて、気象に起因する災害対応体制の整備・充実などが課題となっていました。

「地域のインフラとして、できるだけ店舗を開けておきたいという思いはありつつも、お客様や住民の皆様、現場で働くメンバーの安全を守るため、災害リスクが迫っているときはやむを得ず営業時間の変更等の判断をせざるを得ない場合もあります。

こうした重要な判断を迅速に行うためにも、ここ数年、とくに注力してきたのがカインズ独自のより実践的な災害対応ルールづくりです。より多様なリスクに的確に対応できるよう、常にルールやフローを見直しながら災害対策の整備や強化に取り組んできました」(油藤氏)

株式会社カインズ 総務部 災害対策グループ グループマネジャーの油藤春行氏
株式会社カインズ 総務部 災害対策グループ グループマネジャーの油藤春行氏

これまでに策定してきたマニュアル類を見直すなかで、課題も見つかったといいます。

「カインズは全国に230店舗あります。マニュアル整備のおかげで、臨時に店舗の営業時間変更などを判断する際、『どのような情報をいつ確認するべきか』ということは理解していたのですが、それぞれの現場と災害対策本部(以下、本部)で気象や各種の警戒情報、あるいは各自治体からの情報等を一元化し、共有することが不十分でした。

例えば、台風接近時は、気象庁や国土交通省、ニュース番組などのメディアから数多くの気象情報が流れてきます。情報の伝え方や中身はメディアによって様々なので、現場と本部で取得するタイミングが異なります。また、見ている情報が異なると、お互いに同じ見解を得られないこともあり、それが結果的に判断の差につながってしまうというケースもありました。

災害リスクが迫っている状況では、様々な判断が求められます。迅速かつ的確に判断するためには、正確な現状と信頼の置ける気象予測を現場と本部で共有する必要があったのです」(油藤氏)

理想的な災害対策サービスを次々と実現できる拡張力が魅力

「ウェザーニュース for business」を導入した背景には、トライアルで有用性を実感できたことがあるといいます。

「ウェザーニュース for business」のカインズ専用ページ。登録した店舗をクリックすると、積算降水量や土砂災害危険度など店舗周辺の気象情報を確認できる
「ウェザーニュース for business」のカインズ専用ページ。 登録した店舗をクリックすると、積算降水量や土砂災害危険度など店舗周辺の気象情報を確認できる

「最初は本部の10名ぐらいで使っていました。地域ごとの詳細な天気はもちろん、気温や降水量、風速、避難情報など、膨大な情報を自分たちで活用することができるのか、正直不安でした。しかし、カインズとしての災害マニュアルやルール、フローがあったので、自分たちが欲しい情報と、情報が必要なタイミングはすでに明確になっていました。

大雨や台風発生が見込まれる出水期に合わせてトライアルを実施し、ウェザーニュースアプリから得られる情報とマニュアル等を照らし合わせながら、対応を整理してきました。

各店舗のメンバーが気象リスクを確認している
各店舗のメンバーが気象リスクを確認している

実際にサービスを活用する中で、『もっとこうしたい!』という声も多くあり、そうした声にも柔軟に対応できる拡張性も導入を決めた大きな要因です。結果的に各店舗が必要な情報を必要な時に受け取れるようになり、以前よりも迅速な判断ができていると実感できました」(油藤氏)

登録した店舗のなかで避難情報が発令されている地域の店舗は優先表示される
登録した店舗のなかで避難情報が発令されている地域の店舗は優先表示される

導入するにあたっては全国230店舗の現場への情報共有の手段も課題に感じていたと言います。

「全国の店舗責任者やエリアマネジャーが情報を同じように扱うためには、手軽に簡単に操作できるということが大前提です。そういう意味でも、いつも使っているスマホアプリをカインズ仕様にアレンジできる『ウェザーニュース for business』はうってつけでした。

また、災害対策には情報の正確性が求められるので、提供される気象情報の精度の高さも大きなメリットだと感じています」(油藤氏)

「PUSH通知」で災害リスクをいち早く把握し営業判断に活用、台風時もお客様や現場メンバーの安全を確保

現在、カインズでは、本部や各店舗の店長、エリアマネジャー、店舗営業をサポートする本部メンバーを中心に「ウェザーニュース for business」のアカウントを持ち、気象変化への対応や、災害時の初動から復旧にいたるまで活用しています。

「なかでも役立っているのは、『PUSH通知』です。避難情報、大雨、強風などの条件があらかじめ設定した閾値を超えたときに、スマホに通知される機能です。

例えば、48時間の積算雨量が250mmを超えた場合、周辺環境も含め店舗の営業に何らかの影響を及ぼすことが多く、そのラインを超えた段階で該当する店舗と本部にはPUSH通知が届くように設定しています。立地条件により影響は異なるため、ウェザーニューズ社の協力を受け、閾値の設定について試行錯誤を続けています。

全国に230あるカインズの店舗中、約80店が河川の近くにあります。PUSH通知によって、店舗は雨量や警戒情報などをいち早くキャッチして、スムーズに安全対策を講じられるようになりました。本部側でも大雨による浸水や土砂災害などが懸念される店舗の情報の見逃しがなくなり、初動対応が早まって、状況把握が非常に効率化されました」(油藤氏)

店舗が台風の暴風域・強風域に入る場合や避難情報の発令時、雨・風などの予測が閾値を超える場合などに、店舗や本部にPUSH通知が届く
店舗が台風の暴風域・強風域に入る場合や避難情報の発令時、 雨・風などの予測が閾値を超える場合などに、店舗や本部にPUSH通知が届く

最近では、2022年9月の台風14号でも「ウェザーニュース for business」が活躍。近年は台風が日本列島の近くで発生することも多いので、まだ台風の進路が定まっていない熱帯低気圧の段階から情報を確認し、災害対策の準備を進めたといいます。

台風14号は強風域が広かったことから、現地の店長と早めに情報連携できるよう、台風時における「ウェザーニュース for business」の活用方法を本部から再度伝えました。

「どのタイミングで、どのくらいの風速や雨量になるのか」など、各店舗でのリスクの把握と適切な対策の周知に努めたといいます。

「その結果、風が強く吹き始める前の早い段階で営業時間の変更を判断することができました。台風14号は非常に強い勢力で上陸したばかりか、強風域の半径が750kmまで達する大型の台風でした。普段であればトラブルが発生してもおかしくない状況だったにもかかわらず、今回の台風による事故やトラブルはまったくありませんでした」(油藤氏)

災害時のアクションにつながる情報で、効率よく正しい判断が可能に

「ウェザーニュース for business」を導入してもっともメリットを感じている点は、本部と店舗のメンバーが見る気象情報がアプリ上で一元化されて、次の行動につながる情報を同時に得られるようになったことだといいます。

「これまでは全国の店舗で各種の情報を判断の基準にしていました。そのため、本部と現場で認識の違いが生じることもありましたが、アプリから手軽に同じ情報を同じタイミングで得られるようになったことで、全員が納得できる対応を迅速に行うことが可能になりました。

以前のように情報が多すぎると、優先順位がつけにくくなってしまい時間のロスも生まれます。私たちが欲しいのは、次のアクションにつながる正確な情報のみ。『ウェザーニュース for business』は、受け取った後にどう動けば良いのかが、たちどころに理解できる情報だけが見られるように整理されているので、状況把握が非常にスムーズだと社内でも評判です」(油藤氏)

台風などの災害時における営業時間の変更の基準については、以前はご来店されるお客様だけではなく現場メンバーの安全確保という点でも課題が残るものだったといいます。

「弊社の原則として、現場メンバーによる閉店準備、安全な状態での帰宅所要時間を考慮して、暴風域に入る5時間前に臨時休業を行うことをひとつの目安としています。判断の鍵を握る『暴風域に入る5時間前』の計算は、これまでは公表されている各種の情報から災害対策本部で推定していたのです。

『ウェザーニュース for Business』の導入後は本部と現場が精度の高いひとつのデータを共有することで、効率よく正しい判断ができるようになりました。現場メンバーがより安心して働ける職場になったのもうれしい変化です」(油藤氏)

風によるリスクも通知、高度な気象データを普段使いできるようにアップデート

カインズでは、災害レベルの荒天時だけでなく、1年を通して『ウェザーニュース for Business』を活用できるような工夫をしていきたいといいます。

「これまでは強風で買い物用のカートが駐車場内で流れる、あるいは商品が倒されてしまうようなことが年間30件ほどあったので、強風対策をうながすためのPUSH通知を設定しました。過去の事故当時の気象状況の経験から、最大瞬間風速が15m/sを超えることが予測される場合は通知が届くようにしています。通知を受けたメンバーが事前に対処することで、トラブルの軽減に努めています。

気象データを活用することで、より安全で、より効率的な店舗運営ができます。今後は、もっと使いこなせるように経験値を高めカインズ独自の災害対策整備を追求し、『ウェザーニュース for Business』をどんどんアップデートさせていきたいです」(油藤氏)

カインズ富津店では、日常的に風の通知をトリガーに外の商品を中にいれるなどの対策を行っている
カインズ富津店では、日常的に風の通知をトリガーに 外の商品を中にいれるなどの対策を行っている

加えて、気象情報を活用した地域の人向けの独自性の高い情報発信も検討中だといいます。

それぞれの地域に根差した店舗やそこで働くメンバーが、これからの地域のくらしをより安心なものにしていくために、地域の皆さんと協力し、地域の皆さんが主役の未来の「まちくらし」を創っていく『くみまち構想』を掲げるカインズの挑戦はこれからも続きます。

株式会社カインズ

業界

事業内容

小売業、ホームセンターチェーン

特徴

店舗の災害対策強化にウェザーニュースアプリを活用

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