厳選されたホテル・旅館宿泊、レストラン予約などを展開するサイト『一休.com』『一休.comレストラン』では、ウェザーニューズ社の気象データ提供・分析サービス「ウェザーテック(WxTech®)」を導入し、顧客への予約確認のための「リマインドメール」に添付しています。
「ウェザーテック」を導入した理由や、活用事例について、株式会社一休 データサイエンス部 エンジニアの遠藤俊太氏にお話を伺いました。
天気予報は利用者にとって重要かつ必要不可欠なデータ
「一休」の会員数は1000万人、登録施設は2万件を超えています。顧客体験を向上させるため、予約者に利用前日、「リマインドメール」を送っていますが、その数は年間数百万件に及ぶそうです。そこに「ウェザーテック」が提供する気象データが活用されており、当日の現地の天気マークや予報士コメントが届きます。
「宿泊施設やレストランの天気予報はユーザーにとって、極めて重要なデータであると、私たちは考えました」(遠藤氏)
リマインドメールには、施設の名称・利用日時・料金・予約番号・アクセスという基本データとともに「現地の天気」についてのコメントと、予報アイコンが掲載されています。リマインドメールの「開封率」は70%を超えることから、「ユーザー関心度の高いコンテンツ」と位置付けられています。レストランなどは誕生日のお祝いなど特別な日に利用されることが多いので、たとえば傘の必要性の有無も、ユーザーの行動を大きく左右する大切な情報だそうです。

「ユーザーの視点に立って満足度の追求を考えた結果、20代の社員から『天気予報を掲載してはどうか』との提案が出されたのが『ウェザーテック』導入のきっかけでした」(遠藤氏)
2万件の宿泊施設やレストランの天気を超細密に予報
予報精度が90%を超えるウェザーニューズの天気予報。遠藤氏は「社内でも当たる! と評判だったので自分でも使ってみたところ、『確かに当たる』と実感した」と言います。さらに、予報地点のメッシュが“1km四方”と、極めて精緻なものになっていることも、評価の基準になったそうです。
「『一休』に登録している飲食店やホテルは2万件を超えています。たとえば伊豆半島の施設を予約したユーザーが現地の天気を知ろうとしたとき、テレビなどの天気予報では『静岡県東部』 などのようにざっくりとしたエリアでの情報しか発表されません。
しかし、実際は伊豆半島でも天城山(あまぎさん)と石廊崎(いろうざき)、東海岸と西海岸とで天気が大きく異なることもしばしばあります。
『ウェザーテック』からは“1km四方”という非常に高い解像度の予報を入手できるので、すべての地点の天気予報をピンポイントで知ることができます。2万地点を超える宿泊施設とレストランに対して、細かい解像度と高い予報精度で天気予報を提供できるという点に非常にメリットを感じました」(遠藤氏)

正確な天気予報で「ユーザーファースト」を実現する
ユーザーファーストに即して検討した結果、『一休.com』は2019年8月に「ウェザーテック」を導入。UX(ユーザー体験)の向上だけでなく、APIやCSVで手軽にシステムが自動連携できることも、作業効率化の向上に繋がっているようです。
「『ウェザーテック』の導入は社内でも期待通りだと評判です。こうしたUXの向上を積み重ねていくことで、私たちのファーストワードである『お客様の喜びの追求』にさらに近づけると思います。
また、こうした細かい気象データをリアルタイムで自社システムに取り込めるのもありがたいです。年間で数百万件に及ぶリマインドメールですが、手動で行う作業はほとんどないほど、システム連携を構築していただけたことは、『一休.com』のスタッフも手放しで喜んでいます。システムの安定性もよく、トラブルは一度も起きていません」(遠藤氏)

ユニークな「指数」のマーケティング活用に期待
いま、遠藤氏が期待しているのが、今後の『一休.com』展開のトリガーとしての活用に期待しているのが、ウェザーニューズ社が持つさまざまな「指数」だといいます。
「“ビール指数”や“鍋指数”などのユニークな指数に注目しています。天気と商品の売れ行きの相関は、私たちのマーケティングにも応用できないかと考えています。たとえばレストランなどで期待できそうなのが『シャンパン指数』です。気温や天気と店舗での予約・オーダー数などを突き合わせ、その相関関係から、限定性といったパラメーターが見出せないか、そして、思わずシャンパンを飲みたくなりそうな気候が続くときには指数とセットでお客様へレコメンドできないかなと。そういった、新たな指数的なものが御社と一緒に生み出せるのではないかと期待しています」(遠藤氏)
また、天気予報関連情報を活用したダイレクトメール(DM)への展開も、視野にあるといいます。
「DMでは、閲覧履歴などを考慮して、ターゲティングされた施設のおすすめ情報などをお送りしています。現在は『ウェザーテック』の情報を使っていませんが、たとえば『この夏は暑さが続くので避暑地の旅館はいかがですか?』といった内容での展開も、可能かもしれません」(遠藤氏)
「一休」は「ウェザーテック」をはじめとするさまざまなコンテンツを活用して、ユーザーファーストの視点から、さらに使いやすいサイトを目指していくといいます。