導入事例

損害保険ジャパン株式会社

企業商品業務部 草彅貴行氏、モビリティ営業支援部 柴田大地氏

自動車の雹災対策の最前線、全国の自動車ディーラーと「ひょうアラーム」を活用して被害を未然に防ぐ

国内損害保険市場でトップクラスのマーケットシェアを誇る損害保険ジャパン株式会社は、雹(ひょう)による自動車への被害を防ぐために企業向け気象情報「ウェザーニュース for business」を導入し、自動車ディーラーをはじめとした各事業者と協力して雹災を防ぐ実証実験をスタート。初年度で100社、930店舗が参加した取り組みについて、損害保険ジャパン株式会社企業商品業務部の草彅貴行氏とモビリティ営業支援部の柴田大地氏にお聞きしました。

雹災拡大や修理の長期化が自動車保険の課題、予測不能な雹への対策が急務に

春秋を中心に直径5mm以上の雹が降り、建物や自動車、農作物や施設などに雹災をもたらしています。5cmにもなると時速100kmを超えて甚大な被害につながります。一般的に雹は予測が難しく、突発的に発生することが多いため、事前対策は困難だと言われています。

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埼玉県のウェザーリポーターから寄せられた雹の報告

自動車の降雹被害はこれまで北関東地方が中心でしたが、2022年以降は全国的に拡大。2024年4月には兵庫県などで大きな被害も発生しています。そのためここ数年、損保ジャパンを含む損保各社ではリスク管理と事前対策が急務になっています。

「雹が降ると自動車のボディやフロントガラスが損傷し、1台あたり100万円を超える損害が生じることもあります。損害保険加入者の損害が何百台、何千台と膨らめば、当社の最終的な支払い額も増幅することは避けられません」(草彅氏)

また、雹の被害は時期やエリアが限られて修理依頼が集中してしまうため、修理対応の長期化を回避したいという課題もありました。

「特に困るのは、自動車修理工場のキャパシティオーバーです。局所的に大量の自動車が被害を受けると、修理の順番待ちが発生し、地域によっては1年以上修理に時間がかかるケースもあります」(草彅氏)

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損害保険ジャパン株式会社 企業商品業務部 草彅貴行氏とモビリティ営業支援部 柴田大地氏

このような両者が抱える雹災課題に対する共通の最適解は、被害が発生する前に回避することが非常に重要ということです。

自動車ディーラーに降雹リスクを通知、スマホを活用した事前対策を開始

損保ジャパンは「ウェザーニュースfor business」の「ひょうアラーム」を活用して自動車ディーラーなどにいち早く警告することで、少しでも被害を軽減できるのではないかと考えて、導入を決めたといいます。

「ウェザーニュースfor business」の「ひょうリスク予測」は、1時間ごと36時間先までの降雹の危険性を「注意」「警戒」の2段階で確認できます。3時間以内に雹が降る可能性がある「警戒」ランクになると、該当エリアのユーザーにプッシュ通知で「ひょうアラーム」が届きます。パソコン版では拠点ごとのリスクをマップで確認することもできます。

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パソコン版では36時間先までの降雹リスクを地図上で確認できる

「ウェザーニューズは全国のアプリユーザーからの降雹報告をリアルタイムに予測に反映していて、精度への期待が導入の決め手となりました。また、『ウェザーニュース for business』 のプッシュ通知機能を活用すれば、新しいシステムを開発することなく、先方に通知できる点も良かったです」(柴田氏)

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雹の発生リスクが高い場合や、降雹報告が寄せられた場合に通知が届く

全国930店舗が雹災対策の実証実験に参加、屋根下への車両移動や防雹カバーで被害回避。「ひょうアラーム」が示した雹災対策の新たな可能性

2024年9~12月にかけて、損保ジャパンは北関東、近畿、九州地方などの自動車ディーラーをはじめとした各事業者と損保ジャパンの営業店を対象に雹災対策の実証実験を実施しました。降雹のアラート通知をトリガーに現場で対策をとり、有効性を検証するというものです。約100社の参加企業に対して「ウェザーニュース for business」を配布し、ウェザ―ニューズのスタッフによる使い方のオンライン説明会を実施しました。

「自動車ディーラーは屋外に大量の車両を保管しているケースも多く、雹が降ると一度に多くの車両が損傷しかねません。アラートが発令された際に『車両を屋根の下に移動させる』『防雹カバーをかける』といった対応策を事前に決めておくことで、被害を最小限に抑えることが可能になります」(草彅氏)

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実証実験のオンライン説明会の様子

「実証実験には法人ベースで約100社、店舗ベースでは930以上の店舗が参加してくださるなど予想数を大幅に超え、雹災への関心の高さを感じました。幸いなことに導入初年度は大きな被害は発生しなかったものの社会課題として大きなニーズがあることを感じ、今後の本格運用に向けて手ごたえを得ることができました」(柴田氏)

損保ジャパンが牽引する保険の新たな役割、未来を見据えた雹災リスクマネジメントの全国展開へ

今後は降雹のアラート通知の活用を全国規模に拡大していく計画とあわせ、アラート通知後にスムーズに回避行動につなげるために、ウェザーニューズと損保ジャパンが共同開発したリスクマネジメント行動タイムラインを活用しています。自動車ディーラーをはじめとした各事業者と協力しながら対策の標準化を進めていきたいと話します。

「2025年度の実証に参加いただく店舗数は2,000を超えるなど、雹災は昨年度以上に事業者の皆さまにとって関心の高いリスクとなっています。降雹の発生を正確に把握することは、損保業界全体にとっての課題。ウェザーニューズ社の気象データと損保ジャパンの保有する事故データを組み合わせることで、予測精度をさらに向上させることが可能になるのではないでしょうか」(柴田氏)

「最終的な目標は、お客様が被害を受ける前に対策をとり、生活や事業の持続性を高めること。そのためにも、より高度なリスクマネジメントを実現していきたいです」(草彅氏)

損保ジャパンの取り組みは、保険金の支払いという枠にとどまらず、「リスクを予測し、被害を未然に防ぐ」という保険業界の役割を担うものとなっている。今後もあらゆるリスクに対して損保の視点でアクションをとり、安心・安全・健康な未来を創造していきたいと意気込みます。

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損害保険ジャパン株式会社

事業内容

損害保険事業を中心にユーザーの安心・安全・健康を支援するサービスを提供

特徴

自動車への降雹のリスク対策に「ウェザーニュースfor business」を導入

規模

5001名〜

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