東北電力株式会社では、ご家庭や商店などの低圧のお客さまを対象に、電気料金負担の軽減や電力需給バランスの改善を目的とした「ecoチャレンジアプリ」を提供しています。一方で、アプリの認知度向上と利用者拡大が課題となっていました。
そこで同社は、気温データを起点とした広告施策に注目。ウェザーニューズのプラットフォームを活用したアプリのバナー広告と、お天気キャスターによる気象情報番組「ウェザーニュースLiVE」のYouTube配信を組み合わせた情報発信を実施しました。今回は、その施策の背景や効果について、東北電力株式会社 販売カンパニー リビング営業部の大泉圭太氏と鈴木智紀氏にお聞きしました。
なぜ節電が必要か?省エネへの納得感や理解の難しさがアプリ普及の壁に
東北電力はecoチャレンジアプリを通じ、電力が逼迫する時期に節電を呼びかけるなどして、生活者の電気料金負担の軽減や、電力需給のバランスの改善を目指しています。現在の利用者は約27万人にのぼりますが、さらなる拡大に向けては“壁”を感じていたといいます。
「もともと『よりそうeねっと』という会員サービスを通じた接点があり、メールやDMで既存会員にアプローチをすることはできていました。一方で、そこに属さない層に対してアプリの認知を広げるだけでなく、『なぜ節電しなければいけないのか』『なぜ使わなければいけないのか』を理解していただくことに難しさを感じていました」(大泉氏)
従来の一般的なWEBバナー広告では、広く届けることはできても、ユーザーの気づきや納得につなげるのには限界がありました。そこで新たな打ち手として選んだのが、気象情報との掛け合わせでした。
「気温と電気使用量には密接な関係があるため、天気を見るという文脈のなかであれば、普段は節電を意識していない潜在層に対しても省エネへの関心を自然に喚起できるのではないかと考えました」(鈴木氏)

バナー広告で「認知」の土台をつくり、お天気キャスター動画で「節電への理解」に引き上げる
今回の広告施策は「YouTubeタイアップ動画」と「アプリ内バナー広告」という2軸で展開しました。YouTubeタイアップ動画では、お天気キャスターで仙台市出身の駒木結衣さんを起用。電力需給バランスを調整するデマンドレスポンスの仕組みを、24時間放送の気象情報番組「ウェザーニュースLiVE」の特別コーナーでわかりやすく解説し、ユーザーの理解促進につなげました。
「キャスターの駒木さんに分かりやすく説明していただいたことで、単なる広告ではなく“学び”としてユーザーに受け取っていただける設計になりました。動画のコメント欄を見ると、駒木さんの解説に対してかなり好意的な声が多く見られ、理解と納得感を同時に生み出すことができました」(大泉氏)
一方、「ウェザーニュース」アプリにおけるバナー広告施策の役割は、電力需要が高まる絶好のタイミングを狙って認知を広げることでした。
「東北エリアでは、寒さが厳しい冬に電力需給がひっ迫しやすいという特徴があります。そうした冬の寒波や夏の猛暑など、電力需要が高まりやすいタイミングに合わせて広告を出し、『今だからこそ関心が向きやすい』という場面で、効果的にユーザーに受け止めていただけることを狙いました」(鈴木氏)
情報を「知らせる」から「動かす」へ。省エネ行動につながる広告だと実感
今回の広告施策の成果は、単に広告が露出したことにとどまらなかったといいます。
「YouTubeのチャット欄に『電力と気象の関係がよく理解できた』、『説明がわかりやすかった』というような好意的な反応がたくさんありました。アプリの存在や内容を知っていただくだけでなく、省エネ行動そのものを考えるきっかけを提供できた、という手ごたえを感じています」(大泉氏)
「ウェザーニュース」アプリのバナー広告は、これまでリーチできていなかった潜在層に対して、当社のアプリの認知や「節電してほしい」という思いを届ける土台づくりに寄与しました。
「気象条件によってユーザーの関心が大きく変わることも実感できました。今後の訴求タイミングやクリエイティブ改善に活かせる知見が得られた点も大きかったです」(鈴木氏)

何よりも大きな成果は、広告で「情報を知らせる」だけでなく、ユーザーの「行動変容につながる」広告を実践できたことだと話します。
気象情報がユーザーの行動変容につながると確信。その先にある「快適さ」と「省エネ」を両立する暮らしを目指して
東北電力は、今回の取り組みを通じ、あらためて気象情報と電力サービスの親和性の高さを実感したといいます。
「気象情報は、ユーザーの行動を変える力を持っていることも確信しました。今後は『気温上昇や寒波に応じた最適な情報提供』『季節ごとの省エネ行動の可視化』『動画や記事など多様なコンテンツ展開』といったことを通じ、ユーザーとより精度の高いコミュニケーションを目指したいです」(大泉氏)
「アプリの認知拡大の先に見据えているのは、ユーザーが『今日の天気なら、電気をこうやって使えばいいだろう』などと自ら判断し、“快適さ”と“省エネ”を両立できることです」(鈴木氏)
気象と電力を掛け合わせたコミュニケーションは、広告の領域を出て、企業とユーザーをつなぐ行動変容のインフラへと変化しはじめているようです。
(※インタビュー内容や所属などは、取材当時のものです)





























