導入事例

株式会社ZIPAIR Tokyo

フライトオペレーションサポートチーム シニアマネージャー 浦健一氏

世界中の気象警報をいち早く把握、気象データに基づく揺るぎない運航判断の軸を築くZIPAIRの新たな挑戦

航空機の運航において、台風やハリケーン、雷や大雪などの悪天候をもたらす気象条件は安全と直結する最大のリスクです。株式会社ZIPAIR Tokyoは、2018年の設立時からウェザーニューズの運航管理支援システム「FOSTER-NEXTGEN」を活用してきました。しかし、同社は更なる安全性の向上を目指して、2025年11月に新たに「ウェザーニュース for business」を導入。なぜ今、フライトの現場で新たな気象情報が必要なのか、株式会社ZIPAIR Tokyo フライトオペレーションサポートチーム シニアマネージャーの浦健一氏にその狙いをお聞きしました。

ハリケーンが多発するヒューストンへの新就航が契機に。気象リスクが顕在化する前に動ける「トリガー」を求めて

「航空事故の約7割は、『クリティカル・イレブン・ミニッツ』に集中するといわれています。離陸後の3分と着陸前の8分、このわずかな時間に発生する突風や横風、雷雲、滑走路の凍結といった気象現象の変化などが、離着陸の可否判断に大きく影響する。そのため、パイロットや運航管理者は、常に発生しうる気象リスクを見極めながら判断する必要があります」(浦氏)

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株式会社ZIPAIR Tokyo フライトオペレーションサポートチーム シニアマネージャー 浦健一氏

ZIPAIRではこれまで「FOSTER-NEXTGEN」を用いて、上空のジェット気流や乱気流(タービュランス)などを詳細に分析してきました。そのような状況で、ZIPAIRの就航路線拡大に伴い、海外空港周辺の悪天リスクを「より早く察知したい」という思いが強まっていたといいます。

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運航管理支援システム「FOSTER-NEXTGEN」

「FOSTER-NEXTGEN」は、日本のみならずグローバルな気象情報を一元的に入手できる運航管理支援システム。世界中の飛行場の気象情報、全球をカバーする気象衛星画像やタービュランス(乱気流)予想、火山噴火時の拡散予報など、様々な気象情報を表示することで、飛行計画の作成から飛行中の運航支援まで、運航管理業務を総合的にサポートしています。

2025年3月、成田=ヒューストン線の就航。それはZIPAIRにとって、新たな気象リスクとの対峙でした。

「ヒューストンの位置するテキサス州南部は、年間を通して雷雨発生のリスクがあり、また夏季にはハリケーンの接近も懸念される地域です。『事象が発生してから』、『やっぱり来たか』となってからでは、お客様に多大なご迷惑をおかけすることになりますし、乗務員にも多大な負荷がかかってしまいます。だからこそ、リスクが顕在化する前に、事前に動ける『トリガー』をいかに作るか、それが課題でした」(浦氏)

そこで同社は、「FOSTER-NEXTGEN」で深く分析、「ウェザーニュース for business」で早く察知、とそれぞれの役割を位置づけて、二段構えで活用し始めたといいます。

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(ZIPAIRの運航路線(2026年1月時点) 東京-成田国際空港を拠点にアジア・北米・ハワイなどに就航している

成田から世界まで、気象警報をタイムリーに把握。成田空港への落雷接近や交通影響予測で運航判断を早める

導入の決め手となったのは「ウェザーニュース for business」の「グロ-バルアラート」だといいます。「グロ-バルアラート」は、世界140以上の国・地域の気象警報のほか、気象のニュースをAI技術で集約するコンテンツです。

「クリックひとつで世界中の気象機関が発表する気象警報を瞬時に把握できて、海外の気象ニュースも確認できる。この利便性が導入を後押ししました。

例えば、ヒューストンにハリケーン警報が出ていなければ『当面は大丈夫』と判断できますし、逆に何らかの警報が出ていれば、その現象が運航便に影響するかどうかを検討するきっかけにできます。たとえ就航先ではない地域の情報であっても、運航全体のリスク把握には非常に役立ちます」(浦氏)

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世界140以上の国・地域の気象警報や災害ニュースが集約されている

また、国内においても、成田空港近くの落雷リスクの可視化が大きな効果を発揮しています。

「雷を伴う雨雲の位置が空港から50㎞、20㎞、8㎞の距離と接近するごとに、警戒レベルを切り替えています。より客観性のある情報が得られることで、従来の人の目で行う画像監視による判断から脱却し、客観性のある判断を誰でも同じ基準でできるようになります」(浦氏)

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さらに、台風や大雪による鉄道・道路への影響を事前に把握できる点でも重要だといいます。

「台風接近時には、お客様の空港アクセスはもちろんのこと社員の出退勤にも影響する可能性があるため、台風の進路予測をもとに影響時間をこのプロダクトを利用しながら確認します。地上交通への影響予測や計画運休の情報は、航空機運航可否を検討する事前対策会議での重要なポイントの一つです」(浦氏)

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鉄道や高速道路の影響予測も加味した上で判断できる

データ整理にかける時間が劇的に短縮。台風時も自信を持って早期判断でき、社内からも「これ、いいね!」の声

「ウェザーニュース for business」導入後は、社内のコミュニケーションスピードが向上したといいます。

「例えば、台風によって成田空港の離着陸に影響が予想される場合、以前なら気象情報を入手・整理するのに複数のウェブサイトを利用していたことで時間がかかっていましたが、今では『ウェザーニュース for business』を開くだけで全体像から詳細情報まで入手することができます。2025年の台風19号の際にも、根拠を持って『日本接近の可能性はほぼなし』、と社内の主要メンバーにメールで早期に発信できたのは大きかったです。確認作業時間、運航可否判断に至るプロセス、そして社内情報共有の流れ、すべての流れが格段に速くなりました」(浦氏)

社内で「これ、いいね」という声が増えてきたことにも、「ウェザーニュース for business」導入の手ごたえを感じている点だと話します。

気象データの使い方の「レシピ」を広めて経験の属人化を解消し、航空業界全体の安全性を高めたい

現在は浦氏が中心となって気象情報を社内に共有していますが、これからは気象に精通した個人のスキルに頼るのではなく、誰でも共通の気象データに基づいて判断できる、脱・属人化を組織のスタンダードにしていきたいといいます。

「気象データの使い方のレシピを社内に広めて、“気象データに基づく判断で安全を守る文化”を各部署に広げていきたいと思っています。気象に詳しい担当者が異動してもノウハウが途絶えることがあってはならないと考えています。担当者が変わっても、判断の質が変わらないのが理想です」(浦氏)

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「将来的に、自社だけでなくすべての関係者が、気象情報を今まで以上に的確に使えるようになれば、航空業界全体の安全性と効率が底上げされるのではないでしょうか」(浦氏)

専門的な気象情報を、誰が見ても同じ正解にたどり着ける強固な体制へ。運航の属人化を乗り越えた先にある「揺るぎない安全」を目指し、ZIPAIRの挑戦はこれからも続いていきます。

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株式会社ZIPAIR Tokyo

事業内容

国際線中長距離の航空機運航

特徴

エアラインの安全運航に世界中の気象情報を活用

規模

301〜1000名