導入事例

イオン九州株式会社

人事総務本部 総務部 危機管理担当 手塚利永氏

度重なる水害に危機感、約300店舗の台風や大雨リスクを把握して浸水を未然に防ぐ

九州に約300店舗を展開するイオン九州では、近年頻発する台風や豪雨への備えとして「ウェザーニュースfor business」を導入。店舗ごとの詳細な気象情報を把握して、台風や豪雨時の浸水対策や営業時間の迅速な調整につなげています。気象情報を活用したスーパーマーケットの店舗の災害対策について、イオン九州株式会社 人事総務本部 総務部 危機管理担当の手塚利永氏にお伺いしました。

浸水被害が続いて事業継続に課題も、店舗ごとの気象情報で防災対策の強化に取り組む

九州は台風の通り道になりやすいだけでなく、線状降水帯も多く発生し、地形的な影響もあることから水害が多い地域です。イオン九州のイオン小郡店とビッグ武雄店では、過去にそれぞれ3回以上の浸水被害を経験。最長で約3か月の店舗休業を余儀なくされた経験もあるとのこと。

「イオン小郡店は水田の周辺で低い位置に建っていることもあり、浸水被害を受けやすい立地です。弊社の店舗の損害にとどまらず、専門店街に入居されているテナントの撤退リスクもあるため、水害をはじめとする防災対策は事業継続に直結する重要課題でした」(手塚氏)

「従来の気象情報は地域単位での提供が一般的で、個別の店舗に最適化された情報を得るのは難しいという現実がありました。『ウェザーニュースfor business』を導入することで、九州に約300ある店舗ごとに雨量や風速、台風の進路などの情報を見ることができるのは大きな利点になる」と考えて導入に至ったそうです。

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イオン九州株式会社 人事総務本部 総務部 危機管理担当 手塚利永氏

台風時に店舗ごとの営業の可否判断が可能に、判断までのスピードや柔軟性が向上した

水害リスクの高い店舗では、店長が毎日のようにリアルタイムで状況を確認しています。特に1年の中でも6月や10月は特に気をつけて見ています。河川に設置されたライブカメラの映像と合わせ、雨量予測や雨雲レーダーもチェックして、止水板を準備。こうした気象情報の活用は、現場と本社の連携強化にもつながっているといいます。

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福岡の店舗の気象状況を確認している様子

2024年の台風10号では中心気圧が960hPaより低い予測が出ていたため、管理担当役員の判断で本社災害対策メンバーと事業部や店舗が参加するオンライン会議を立ち上げ、台風の進路や風速、降水量などを随時確認しながら、店舗の営業時間の変更を含めた具体的な対応を議論したとのこと。

「以前は、店舗の営業可否などの決定に時間がかかっていました。現在は、営業時間の短縮や開店時間を遅らせるなど、店舗ごとに最適な判断を効率的に行えるようになり、公共交通機関が運休しそうであれば従業員を早く帰宅させるなど、安全を最優先しつつ、意思決定にスピード感や柔軟性が増しています」(手塚氏)

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積算降水量をもとに店舗ごとの大雨リスクを2段階で判定
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台風進路予測などさまざまな気象情報を活用している

線状降水帯リスクの見える化で、早期警戒体制の確立と現場の安心感醸成

イオン九州では、「ウェザーニュース for business」を通して線状降水帯のリスクを事前に把握することで、早い段階から警戒体制をとれるようになったといいます。

「2022年には、前日はまったく雨が降っていなかったのに、翌朝4時頃に線状降水帯が発生し、その後2~3時間という短時間で店舗近隣の川の水位が急激に上昇する、ということがありました。早朝ということもあり対応が間に合わず、店舗に被害が出てしまいました。『ウェザーニュースfor business』の導入後は、予測の精度が格段に高まったことで、数日前から警戒を強化できるようになりました。加えて、より確実に浸水対策を行うため、止水板に関するオペレーションも変更しました」(手塚氏)

現場からも「従来は難しかった線状降水帯が可視化できるようになったことでリスクも『見える化』され、対策会議での意思決定の指針ができた」「地域単位ではなく自分の店舗単位での気象予測ができるようになったので安心感が増した」といったポジティブな声が上がっているといいます。

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法制化された熱中症対策の強化にも期待、日常的な防災ツールとして使いこなしたい

今後は、気温上昇にともなう熱中症対策にも気象情報の活用を広げていきたいと語ります。

「2025年6月から熱中症対策が義務付けられ、社内でも対応が求められていることもあり、『ウェザーニュースfor business』の熱中症情報に期待しています」(手塚氏)

災害は「起きてから」ではなく「起こる前」に備える時代。イオン九州のように、店舗ごとに最適な判断ができる環境を整えることは、「事業の継続性」と「従業員や顧客の安全確保」を両立させる鍵となるはず。「従業員の誰もが日常的に使うツールに育てていきたい」と手塚氏が話すよう、さまざまな意思決定のよりどころとして、今後の気象情報活用の可能性はさらに広がっていきそうです。

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イオン九州株式会社

事業内容

衣料品、食料品、住居余暇商品、ホームセンター商品などの小売事業

特徴

店舗の防災対策に気象情報を活用

規模

5001名〜

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