導入事例

長島観光開発株式会社 / ナガシマリゾート

企画宣伝部 山敷剛氏

イベント向けのお天気アプリ導入で、花火大会やハロウィンの安全・快適な運営を実現

国内外から年間約1000万人以上が訪れる東海地区を代表する複合リゾートエリア「ナガシマリゾート」の中核施設である「ナガシマスパーランド」は日本最大級の遊園地。ナガシマスパーランドでは、お天気アプリ「ウェザーニュース」をカスタマイズしたイベント主催者向けの「ウェザーニュース for business」を夏恒例の「花火大競演」やハロウィンのイベント運営に活用し、来場者の安全性や快適性などの向上に大きく役立てています。

「ウェザーニュース for business」の導入にいたった経緯や、活用法の実態について、長島観光開発株式会社 企画宣伝部の山敷剛氏にお話を伺いました。

予報精度の高さと、操作性の良さがアプリ導入の決定打に

ナガシマスパーランドの「花火大競演」は1979年からはじまり、2023年で45回目を迎えました。多い日には数万人の来園者が訪れる大きなイベントです。歴史ある夏の風物詩としておなじみのイベントを安全に運営するためには、日々の天気予報は必要不可欠だといいます。

長島観光開発株式会社 企画宣伝部 山敷剛氏
長島観光開発株式会社 企画宣伝部 山敷剛氏

「花火大会は天気の影響を受けやすいイベントです。雨が降るタイミングや雨の量はもちろん、風向きや風速など、花火大会の数日前から正確な情報を把握しておくことが重要です。

もし中止となれば、来園者はもちろん、運営スタッフなど多くの関係者に多大な影響を及ぼすことになります。経費などの損失も大きいので、開催可否の判断は、私たちにとって、とても重要なのです」(山敷氏)

このような重要な判断が求められる場面では、高精度な天気予報が必要不可欠です。

「精度の高い気象データによる裏付けがあれば、私たちも自信を持って開催可否の判断を下すことができます。また、スピーディーで質の高い判断力が求められるので、必要な情報を手際よく確認する必要があります」(山敷氏)

花火大会の運営には、花火師、警備員、会場設営スタッフなど、多くの関係者の協力が必要
花火大会の運営には、花火師、警備員、会場設営スタッフなど、多くの関係者の協力が必要

ナガシマスパーランドでは、1990年代から、電話応対によるウェザーニューズの『イベント気象サービス』を活用していましたが、今年から、精度の高い情報をアプリで手軽に入手できる「ウェザーニュース for business」のサービスに切り替えました。

「元々私が個人でウェザーニュースアプリを使っていたこともあり、『ウェザーニュース for business』は使い勝手がよく、予報精度も申し分ありません。

電話からアプリの移行に関しても、最初は抵抗を感じた部分もありましたが、担当者のわかりやすいレクチャーのおかげで問題なくシフトできました」(山敷氏)

風向の影響や雨濡れの心配なく楽しめるよう、会場準備から高精度な予報が欠かせない

花火大会の期間中は、実際に花火を打ち上げる花火師、警備員、会場設営スタッフ、来場者の誘導係など、各部署の関係者をとりまとめる担当者をはじめ、パークの責任者など含めた約20名が常時アプリやパソコン版の専用ウェブサイトを細かくチェックしているそうです。

急激に発達することもある、雨雲や雷雲の動きには要注意
急激に発達することもある、雨雲や雷雲の動きには要注意

「私たちが最も頻繁にチェックしているのは、雨と風の情報です。『花火大競演』では、来園者の安全性や快適性を重視して、一般的な花火大会よりも厳しい開催基準を設けています。

特に雨は、小雨であっても中止を検討する対象になります。また、たとえ雨が降っていなくても、風の状況によっては中止を判断することもあるのです。観客席に花火の燃えカスが飛来するリスクや、立ち込める煙によるリスクなどを常に考慮する必要があります。

来園者が不快な思いをすることなく、安全に花火をご覧いただくためにも、ピンポイントで精度の高い天気予報が欠かせません。降水量や風向き・風速は開催の可否を決定する大事な要素なので、随時チェックできる体制を敷いています。

雨や落雷、熱中症などのリスクがある場合は、プッシュ通知が届くようにカスタマイズしてもらったので、いち早くリスクを把握することができます。通知機能は100%活用していて、とても役立っています」(山敷氏)

来園者に「安全」「快適」に過ごしてもらうためには、花火大会当日の天気予報だけではなく、事前の予報も重要になるといいます。

「例えば、空気が乾燥している状況では、花火の火の粉が枯草などに燃え移って火災になる恐れがあるので、散水などの火災防止対策が必要です。基本的に晴天が続いて乾燥していれば事前散水を広範囲に実施するのですが、前日や当日の朝などに雨が降るなら散水の準備をする必要がなくなります。また、風向きによっては風下への散水を強化することもできます。

また、レジャーシートを敷いて花火を観覧する観客席エリアの「芝生ひろば」や、花火の打上筒を設置する打上場は、雨や風の影響を受けやすいので、コンディションを十分に考慮する必要があります。特に台風や低気圧が発生している場合は、たとえ遠方であっても、進路や場所よって風向きが大きく変化するので注意が必要です。

そのため、当日の開催時間前後だけでなく、1週間予報や10日間予報も必ず確認し、事前の準備を徹底しています」(山敷氏)

イベント向け「ウェザーニュース for business」の画面、開催直前までチェックが欠かせない
イベント向け「ウェザーニュース for business」の画面、開催直前までチェックが欠かせない

台風接近時、異例のスピード判断で損失額を大幅削減

アプリの導入によって、「安全」で「快適」なイベント運営を実現できるだけでなく、「経済面」の改善でも、手ごたえを感じているといいます。

「開催判断で奏功したのは、2023年8月の台風7号の際、大会の3日前に中止にするという異例のスピード判断ができたことです。これまでは、台風が近づいているのはわかっていても、正確な情報が不足していたこともあって、大抵は中止という結論にいたるのは前日でした。アプリの導入によって精度の高い予測データを複数人で同時に共有でき、より早く正しい判断が可能になりました」(山敷氏) 

開催3日前に中止の判断に至ることになったのは、ここ20年ではじめてのことだそうです。ビジネス面の損失額にも大きく影響しているといいます。

「マイナスの割合が当日を100%とするならば、前日なら50%、2日前なら25%と半減していくイメージです。花火の準備はもちろん、警備や運営に関わる人件費やパーク全体の収益も考えると、中止の判断は早ければ早いほど損失は少なくて済みます」(山敷氏)

また、アプリは来園者とのコミュニケーションにも役立っているようです。

「花火大会を楽しみにしている来園者が多い分、風速や風向きなどの伝わりにくい気象条件で中止にしなければならないときは、なかなか納得してもらえない場面が多くありました。しかし、リアルタイムの観測データをもとに中止の背景を説明すると、ほとんどの場合は納得していただけます」(山敷氏)

細かい風の予報もスマホから手軽に確認できる
細かい風の予報もスマホから手軽に確認できる

「雨が降っていたため経験値や感覚的には中止の方向だろうと予想していたものの、データを確認したら数分で雨がやむという予測が出ていました。一時的な降雨であることがわかったので、中止にすることなく無事に開催することができました。中止の心配をされていた来園者も多かったのですが、無事に開催できたことで大いに喜んでいただけました」(山敷氏)

このように可能な限り「開催」を実現するために、判断した根拠を伝えられることで、来場者の満足度向上につなげたり、経済的な損出を防ぐことができるそうです。

ハロウィンの演出は天候にあわせて変更、イルミネーションはLED電飾に雪が積もらないよう対策したい

夏の花火以外にも、季節ごとにさまざまな屋外イベントを開催しているため、各イベントに合わせてアプリの導入を横展開していきたいといいます。

「手始めに10月に開催したハロウィンイベントでアプリを活用しました。『ナガシマゾンビアイランド』というイベントで、たくさんのゾンビが園内を徘徊し、来園者を驚かせたり、音楽に合わせてゾンビがダンスパフォーマンスを披露したりします。晴天時と雨天時では演出の内容や実施エリアが変わるので、事前の対策が必要です。雨の場合は実施エリアを変更したり、天候の影響による来場者数の変動に対応します。パークの責任者含め、イベントの実施業者などと気象データを活用しながら密に連絡を取り合い、当日の朝には実施判断を下します。

今回のハロウィンイベントでは、当日の朝は雨が降っていたのですが、イベントの時間帯には止んでいる予報だったので、朝の段階で晴天時のパターンでの実施を判断しました。おかげさまで、予報通り降雨もなく、多くの来園者にお楽しみいただけました」(山敷氏)

ハロウィンのイベントでも気象データを活用して機会ロスを回避
ハロウィンのイベントでも気象データを活用して機会ロスを回避

屋外のイベントでは夏季や秋季の台風はもちろん、冬季のイルミネーションにおける気温の低下への対策も運営面や来園者の安全面を考えるうえでは欠かせません。

「冬の凍結はもちろん、屋外に装飾しているイルミネーションのLEDライトは通常のライトよりも発熱量が少ないため、雪が電球に付着しても溶けにくく、積もりやすい傾向にあり、電飾を覆い隠してしまうリスクも考えられます。事前予測が可能になることで、来場者により一層安全に楽しんでもらえるような対策を立てていくことに期待は膨らみます」(山敷氏)

来園者の安全性や快適性を高め、ビジネスとしての成功を最大化するためには、気象データの有効活用が非常に重要だと話します。気象データを駆使しながら、エンターテインメント施設としてのサービスをさらに充実させるようなチャレンジを続けるナガシマリゾートの取り組みに、今後も注目です。

長島観光開発株式会社 / ナガシマリゾート

事業内容

遊園地、プールなどのレジャー施設の運営

特徴

日本最大級の遊園地「ナガシマスパーランド」の花火大会やハロウィンイベントの運営にアプリを活用

規模

1001〜5000名

導入事例をご紹介

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