沖縄・奄美地方に接近している台風18号について、ウェザーニューズが独自に試算したところ、社会・経済への影響額は約50億円〜86億円と試算されました。
この推計は、進路や勢力が類似する2026年台風13号(DOLPHIN)による沖縄・奄美地方の経済影響(推計約73億円)を参考に算出したものです。台風18号は台風13号と同様に沖縄・奄美地方の広い範囲に接近する見込みで、航空便の欠航や農林水産業、観光・商業活動への影響が重なることで、大きな経済影響につながるとみられます。
被害の内訳・注目ポイント
今回の推計では、航空・農林水産業・観光商業・住家公共施設・バス道路・船舶物流・停電通信断水の7項目について、それぞれの経済影響額を算出しています。項目別の内訳は次のとおりです。
■ 航空便の欠航による影響 — 約31億円〜47億円
台風の接近に伴い、沖縄・奄美地方を発着する航空便で欠航や運航調整が発生する見込みです。繁忙期にあたる時期の欠航は影響を受ける旅客数が多くなりやすく、振替便への予約集中による搭乗までの待ち時間の増加も、経済影響額を押し上げる主な要因となっています。推計にあたっては、影響を受ける旅客数に、国土交通省の基準による旅客の時間価値(1人・1時間あたり3,631円)と、想定される足止め時間を掛け合わせて算出しています。
■ 農林水産業への影響 — 約7億円〜13億円
強風によるサトウキビ等の農作物の倒伏や、ビニールハウス等の農業用施設の損壊、暴風に伴う沿岸部の漁業関連施設への被害などが想定されます。台風の速度や暴風域の広がり方によって、被害の範囲は変動する可能性があります。
■ 観光・商業活動の縮小 — 約6億円〜11億円
暴風・高波への警戒に伴い、観光施設や商業施設が一時休業となることに加え、旅行者による日程変更やキャンセルが発生することで、地域の観光・商業消費が一時的に落ち込むとみられます。推計にあたっては、沖縄県・奄美群島の観光統計に基づく1人当たり観光消費額(沖縄:98,281円、奄美:68,122円)や、施設の休業日数、旅行者の消費が純減した割合を踏まえて算出しています。
■ 住家・公共施設等の被害 — 約3億円〜7億円
暴風による住宅の屋根や外壁等の損壊、学校・港湾施設など公共施設の一部損壊が、主に奄美地方で発生する見込みです。台風の接近経路が奄美地方に近いことから、同地域での物的被害の比重が相対的に大きくなるとみられます。
■ バス・道路等の交通影響 — 約1.6億円〜3.7億円
暴風への警戒に伴う路線バスの計画運休や、倒木・土砂等による道路の通行規制が発生することで、地域内の移動に影響が及ぶ見込みです。
■ 船舶・物流の停止 — 約0.8億円〜2.1億円
高波や強風の影響で、離島航路を含む船舶の運休が発生し、これに伴い宅配便や貨物の配送に遅延が生じる可能性があります。
■ 停電・通信・断水 — 約0.5億円〜1.3億円
強風による倒木や電柱の損傷等により、局所的な停電が発生する可能性があります。停電が長時間に及んだ地域では、通信や断水など生活面への影響が重なる場合があります。
分析考察
今回の経済影響が大きくなる背景には、複数の要因が重なっていると考えられます。第一に、空港の欠航に伴う旅客の時間損失が、今回の試算の中で最大の項目となっている点が挙げられます。第二に、農林水産業や観光・商業活動への影響も同時に重なることで、地域経済全体への影響が積み上がる構図となっています。
今回の推計額(約50億円〜86億円)には、2026年台風13号(DOLPHIN)による沖縄・奄美地方の経済影響(推計約73億円)と同程度の水準が含まれています。
復旧の見通しとしては、交通機関は台風接近後1〜2日程度で運転再開が進む見込みですが、航空便は振替便の調整により数日程度混雑が続く可能性があります。観光・商業施設についても1〜2日程度の休業が広がったのち、順次営業を再開するとみられます。
まとめ
台風18号は現在も沖縄・奄美地方に接近を続けており、実際の欠航状況や停電規模、農林水産業・住家等の被害状況によって、この試算結果は変動する可能性があります。台風の進路や勢力の変化によって、想定を上回る大きな被害が発生する可能性もありますので、今後の台風予測や大雨・強風予測について、ウェザーニューズからの最新見解を確認して、事前の準備や対策を心がけてください。
法人向けサービスの「ウェザーニュース for business」では、台風の接近・上陸リスクを、登録した全拠点に対してリアルタイムで一元把握が可能です。暴風域・強風域への入域予測や進路の時系列変化を地図上で確認でき、いつ・どの拠点が影響を受けるかを事前に判断できます。早期の体制構築・従業員の安全確保・事業継続計画(BCP)の発動判断を、気象の専門知見に基づいてサポートします。
(参考)算出根拠と推計方法
本推計は、2026年台風13号(DOLPHIN)による沖縄・奄美地方の経済影響推計を基準に、航空・農林水産業・停電・船舶物流・バス道路・観光商業・住家公共施設の7項目について、台風18号で想定される影響の広がりと深さを設定し、それぞれ13号の推計値に係数を掛け合わせて算出しました。中心気圧や最大風速等の気象値は、どの被害想定が妥当かを判断する参考情報として使用していますが、被害額に直接変換するものではありません。
主な項目の具体的な算定方法は以下のとおりです。航空は、影響旅客数×旅客の時間価値(国土交通省の基準)×想定される足止め時間で算出。観光・商業は、1人当たり観光消費額×休業日数×旅行消費の純減割合で算出。停電は、過往の大規模停電時に確認された1世帯当たりの平均的な金銅被害額を基礎値として使用。農林水産業や住家・公共施設等は、沖縄県や鹿児島県が公表した被害速報・被害件数を基礎としています。
出典・引用元
・気象庁 台風情報
・2026年台風13号に関する沖縄県・鹿児島県・国土交通省等の公表資料
・国土交通省 空港整備事業の費用対効果分析マニュアル(旅客の時間価値の基準)
・沖縄県 観光統計資料(観光收入・1人当たり県内消費額)
・奄美群島観光物産協会 基礎調査指標(奄美の観光消費額・平均宿法数)
・電力中央研究所(CRIEPI) 大規模停電時の家庭被害調査(停電の基礎値)
・沖縄県農林水産部 台風被害速報
・鹿児島県 台風被害に関する最終報(住家・公共施設等被害件数)
・ウェザーニューズ独自分析
※ 本試算はウェザーニューズの独自分析により算出した推計です。確定被害額ではありません。速報(2026年8月25日時点)。今後の公式被害データの反映により数値は変動します。

























