昼間の暑さだけが原因じゃない! 「前夜の気温」の熱中症リスク

昼間の暑さだけが原因じゃない! 「前夜の気温」の熱中症リスク
ニュース2026.08.27 09:00

厳しい残暑が続いており、夜間も25℃以上が継続する熱帯夜の日も少なくありません。 ウェザーニュースは2026年8月、現在のペースで温暖化が進行した場合、日本の熱帯夜が将来どのように変化するかをシミュレーションし、2080年には熱帯夜が年平均100日を超える地域も出てくるとの予測結果を発表しました。 今回は熱帯夜と熱中症の関係に着目し、東京都と大阪府における2021年から2025年までの5年分(各年5月から9月)の熱中症による救急搬送データ(総務省消防庁発表)と、気象庁アメダスの観測データを分析しました。

>>温暖化で熱帯夜が世界的に急増 寝苦しい夜を乗り切る3つの方法


熱中症による搬送者数の6割から8割が熱帯夜に集中

日最低気温と熱中症による搬送者数の関係を分析したところ、日最低気温が25℃以上となる、いわゆる熱帯夜の日は全体の日数の3割から4割程度にとどまりました。

ここに写真の説明(代替テキスト)を入力
日最低気温25℃未満の日数と熱帯夜の日数の内訳

次に、どのタイミングで熱中症の搬送者が増えているか?を熱帯夜とそうでない日で比較しました。 前述の通り、2021年から2025年の5から9月にかけて、熱帯夜となった日は全体の3割弱から4割弱にとどまります。にもかかわらず、搬送者数で見ると6割から8割が熱帯夜の日に発生しており、日数の割合を大きく上回っていることが分かります。 5年分のデータを分析した結果は以下の通りです。

  • 東京都: 熱帯夜の日数は全体の27%だが、搬送者数の61%が熱帯夜の日に集中
  • 大阪府: 熱帯夜の日数は全体の39%だが、搬送者数の79%が熱帯夜の日に集中
ここに写真の説明(代替テキスト)を入力
熱中症搬送者数の内訳

搬送者数が多い日ほど高まる、熱帯夜の割合

東京都・大阪府それぞれについて、2021年から2025年の5〜9月(各765日)を搬送者数の多い順に並べ、上位25%にあたる191日を抽出しました。この上位25%に絞って見ると、東京都では69%、大阪府では91%が熱帯夜でした。搬送者が多かった日のほとんどは、前夜に気温が下がらない日だったのです。

搬送者数の多い日ほど熱帯夜だった割合が高くなる傾向は、搬送者数全日(東京都27%、大阪府39%)→搬送者数上位50%の日(52%、74%)→搬送者数上位25%の日(69%、91%)と絞り込むごとに一段と強まっており、搬送者数と熱帯夜の関連の強さがうかがえます。

ここに写真の説明(代替テキスト)を入力
搬送者数が多い日ほど高まる、熱帯夜の割合

昼間の暑さだけが原因じゃない!搬送急増を招く「前夜の気温」

熱帯夜の日に搬送者数が多いのは『単に昼間の最高気温が高いからではないか』—— この疑問を検証するため、消防庁が発表している日搬送者数の中から、日最高気温が33℃以上の日(東京都231日、大阪府291日)だけを取り出して、その日の最低気温を25℃未満と25℃以上(熱帯夜)に分けて、1日の搬送者数の平均を算出しました。

その結果、昼間の気温が同じように高くても、熱帯夜では搬送者数が増加する傾向が見られました。

  • 大阪府: 熱帯夜でない日は1日平均45.6人 → 熱帯夜となった日は80.3人 (約1.8倍)
  • 東京都: 熱帯夜でない日は1日平均95.9人 → 熱帯夜となった日は118.3人(約1.2倍)

昼間の暑さだけでなく、「前夜の気温」が熱中症リスクを大きく左右していることがデータからわかりました。

ここに写真の説明(代替テキスト)を入力
最高気温33℃以上の日の熱中症搬送者数比較

熱帯夜が体温調節機能を低下させる

ここに写真の説明(代替テキスト)を入力
熱帯夜が翌日におよぼす影響とその対策

日最低気温が搬送者数に強く影響する背景には、夜間の高温が体の回復プロセスを物理的に阻害している医学的理由があります。 人は睡眠時、皮膚から熱を放出して脳や臓器の温度である「深部体温」を上昇から守り、疲労を回復させます。しかし熱帯夜ではこの放熱が不十分になり、交感神経が緊張し続けます。環境省の『熱中症環境保健マニュアル』でも示されている通り、睡眠不足や休養不足は体の「体温調節機能」を直接低下させる要因です。自律神経が疲労した状態のまま翌日の暑さに晒されると、汗をかいて熱を逃がす反応が遅れ、体内に熱がこもりやすくなります。 さらに、高温下の睡眠は発汗による「無自覚の脱水」を引き起こし、朝の段階ですでに熱中症予備軍となってしまう点も危険です。

熱帯夜の対策は単なる快眠のためではなく、起床後の熱中症予防そのものです。 夜間帯の暑さを我慢せず、躊躇なくエアコンを朝まで連続稼働させるよう周知することが求められます。気象予測を活用して寝る前にリスクを把握し、対策を実行に移すことが重要です。


熱中症対策は「前日夕方」から。ウェザーニュース for businessで先手の安全管理を

当日朝の注意喚起だけでは、前夜の熱帯夜による睡眠不足や脱水を防ぐことはできません。社員への夜間の熱中症対策は「前日の夕方」に翌日のリスクを予測し、夜間の過ごし方を含めて指示を出す「先手管理」が重要です。 ウェザーニュース for businessでは、事業所ごとのピンポイントな最高・最低気温予測や熱中症リスクを事前に確認できます。建設現場や物流拠点、医療・介護施設において、前日夕方の申し送りや従業員への注意喚起の「客観的な根拠」として、ぜひご活用ください。

ここに写真の説明(代替テキスト)を入力
ウェザーニュース for business「熱中症危険度&警戒情報」

>>ウェザーニュース for business「熱中症危険度&警戒情報」サービス紹介

出典

(総務省消防庁発表)過去の熱中症搬送者数一覧
(環境省)熱中症環境保健マニュアル

お問い合わせ

導入前のご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

関連記事