導入事例

大和ハウス工業株式会社

森林住宅地管理運営部 平岩伸一氏、松本直樹氏、橋本淳氏

全国14か所の森林住宅地“暮らす森”に気象センサーを設置、居住者を災害から守り、快適な暮らしへ

北海道から九州まで全国14か所にある「暮らす森」は、自然と共生しながら心身ともに健康的に暮らすことを目指すダイワハウスの“森林住宅地”。別荘・定住・二拠点生活といった、時代とともに多様化するライフスタイルのニーズに対応しています。

「暮らす森」では、豊かな自然に囲まれながらも快適な生活環境を提供するため、高性能気象IoTセンサー「ソラテナPro」とお天気アプリ「ウェザーニュース for business」を導入。どのように森林住宅地に活用しているのか、大和ハウス工業株式会社 森林住宅地管理運営部の平岩伸一氏、松本直樹氏、橋本淳氏にお聞きしました。

自然に囲まれた森林住宅地は気象変化が著しく、より精度の高い気象情報が必要に

1973年にはじまったダイワハウスの森林住宅事業は現在、それぞれの地形や風土を活かした緑豊かな分譲地「暮らす森」として全国各地の皆さまに利用されています。

全国14か所の個性豊かな「暮らす森」
全国14か所の個性豊かな「暮らす森」

「北は北海道の茅部郡(かやべぐん)から南は鹿児島県の霧島市まで、全国14か所の約3700区画に住宅を建築。自然と共生する持続可能な森林住宅地を目指して、オーナーの皆さまに『森を間借りする暮らし』を提供しています」(松本氏)

大和ハウス工業株式会社 森林住宅地管理運営部 松本直樹氏
大和ハウス工業株式会社 森林住宅地管理運営部 松本直樹氏

各エリアの敷地内にはダイワハウスの社員を含む管理スタッフが数名常駐し、さまざまな角度から居住者の安全管理を徹底。近年は豪雨などの自然災害が頻発することもあり、リスクマネジメントのひとつとして、精度の高い気象情報の必要性を感じていたといいます。

「『暮らす森』の中には、活火山が近いエリアや台風が度々通過するエリアもあるため、タイムリーな気象情報が不可欠です。特にここ数年は、豪雨による土砂災害などの発生数も多く見られ、オーナーのみなさまによる安全対策や、スタッフのリスク管理の一層の強化が求められていました」(平岩氏)

大和ハウス工業株式会社 森林住宅地管理運営部 平岩伸一氏
大和ハウス工業株式会社 森林住宅地管理運営部 平岩伸一氏

また、「暮らす森」の多くは山間部に広がっています。同じ地域でも山間部と平地では天気が大きく異なるので、正確に天気を把握するためには、きめ細かいデータが欠かせません。

「実際に、天気に差が生じる顕著な例として、阿蘇山の高岳の麓に位置する『ロイヤルシティ阿蘇一宮リゾート』が挙げられます。

平地との気温差が大きく、隣接する熊本市内と夏場で4℃、冬場で6℃も違ったりします。雨の降り方も地域によって異なります。近年は限られた範囲に強い雨を降らせる『局地的大雨』や『集中豪雨』が多発しているという懸念もあり、よりピンポイントで高解像度な気象情報が必要だと感じていました」(橋本氏)

このような天候リスクによる課題を一気に解決するために、2023年11月からニーズに応じてお天気アプリを自在にカスタマイズできる「ウェザーニュース for business」を、12月から高性能気象IoTセンサー「ソラテナPro」を導入しました。

大分県杵築市に設置された「ソラテナPro」
大分県杵築市に設置された「ソラテナPro」

気象IoTセンサーとお天気アプリの両輪で、全国14か所の気象リスクを一元管理

現在は全国の「暮らす森」の管理スタッフや本部のメンバーで、「ウェザーニュース for business」を約40アカウントと「ソラテナPro」を15台活用し、居住者とスタッフの安全管理に役立てています。

「全国14か所の正確な天気の情報を一覧表示できるようにカスタマイズされているので、わざわざこちらから取りにいかなくても入手できる点は非常にメリットを感じています。

以前は、それぞれに設置していた雨量計も現地のスタッフしか見ることができず、電話で観測値を確認していました。導入後は、雨量の観測データを現地と本部で一元管理できるようになったので、安全対策も効率よく判断できるようになりました」(平岩氏)

平岩氏は観測データと天気予報を朝夕にチェックし、強雨などの気になる情報が出ている場合は、その都度情報共有しながら安全対策を立てているといいます。

大分県杵築市の森林住宅地周辺の観測データをアプリで確認
大分県杵築市の森林住宅地周辺の観測データをアプリで確認

「全国14か所を登録しておくことで、各地域の気象リスクをいち早く察知できるようになり、その後の対策もスムーズに対応できるようになりました。

たとえば、高齢のオーナーさまなど、落雷が多い地域では停電に不安を感じている方も少なくありません。そのため、落雷がありそうな天気予報を注意深く見守り、通知を受け取ったら『落雷レーダー』を使ってさらに詳しい情報をチェックしています。3時間先までの落雷の危険性を地図上で確認できるので、余裕をもって安全対策を実施できます」(松本氏)

大分県杵築市の森林住宅地周辺の天気予報も同じアプリから確認できる
大分県杵築市の森林住宅地周辺の天気予報も同じアプリから確認できる

大雨に備えた側溝清掃や大雪時の除雪車手配など、様々なシーンで迅速な事前準備が可能に

気象データを活用することで、本来の目的である、居住者やスタッフの安全・安心を根底に据えた快適な生活の提供に貢献できているといいます。

「豪雨だけでなく、積雪リスクに対するアプローチにも効果が期待できます。というのも、エリアによっては、積雪時には除雪ドーザー車やロータリ除雪車による除雪作業や排雪作業が必要とのこと。また、消火栓が雪に埋没するのを防いだり、スノーポールを立てたりする作業が発生するケースもあります。さらに、道路の凍結や低温による健康被害への注意喚起も怠れません。

これらの判断は、これまでは弊社の災害基準にしたがって現地から本部に報告した後、対策を検討するという流れでした。ただ、立地や気候などの影響により、エリアによっては基準からは外れていても災害のリスクが考えられることもあります。そのような状況でも精度の高い気象データを手軽に共有できるので、現場を中心に的確かつ迅速に対応できます」(橋本氏)

大和ハウス工業株式会社 森林住宅地管理運営部 橋本淳氏
大和ハウス工業株式会社 森林住宅地管理運営部 橋本淳氏

ほかにも、荒天時には倒木や飛散物、落ち葉が堆積しやすい側溝の清掃など、細心の注意を払わなければなりません。そのために、事前の予報だけでなく「ソラテナPro」の観測データも重宝しているとのこと。「ソラテナPro」は気温、湿度、気圧、雨量、風速、風向、照度を1分毎に観測します。実際の雨量や風速がリアルタイムにわかるだけでなく、観測したデータの保存や他システムとの連動に利用することも可能です。

「以前、24時間で雨量が120mmを超えたときに土砂崩れの被害に遭ったエリアがありました。その経験を活かし、『ソラテナPro』の観測データが予め設定した基準を超えたら、アラート通知が飛ぶように設定しています。

実際に設定値を超えてアラートが届いたこともありましたが、早い段階で察知できたので落ち着いて対応することができました。より強固な安全管理が構築できたと実感しています。

最近の夏は猛暑の日も多いので、高齢のオーナーさまの熱中症が心配です。熱中症の危険性が高いときにアラート通知を受け取ることで、熱中症対策も万全にしています」(松本氏)

現地スタッフが観測データを確認する様子
現地スタッフが観測データを確認する様子

現地の観測データを蓄積することが、地域ごとのリスクマネジメントにつながる

今回の取り組みで安全対策が向上した一方で、膨大な気象データを使いこなすには、もっと経験値を高める必要性を感じているといいます。

「導入後も使っていくうちに、より効果的な使い方に気が付くことがありました。これから梅雨や台風シーズンに入れば、より豪雨のリスクも増します。また、夏場の熱中症対策でも、より効果的な使い方が見つかるかもしれません。天気予報と観測データの使い方を適宜アップデートしながら、安全管理を徹底し、より快適な暮らしを提供できるようにしたいと思います」(平岩氏)

具体的には、オーナーさま専用のウェブサイトページに天気予報を表示することを検討しています。

「オーナーズクラブサイトではオーナーさまのためにライブカメラの映像を表示しており、自分の居住エリアの状況をリアルタイムでチェックできます。そこに1kmメッシュの細かい天気予報の72時間のデータや10日間先までのデータを表示する方向で進めています。天気予報も同時に確認できれば、安全対策だけでなく滞在期間の予定も立てやすくなるはず。将来的には、『ソラテナPro』の観測データも表示させて、より正確な現地の情報を届けることも考えたいと思っています」(松本氏)

また、災害リスクは雨量などの気象要素だけでなく、地形などの地域特性も影響するため、各地域で蓄積した観測データも重要になると話します。

「集めたデータを分析すれば、数値に基づいて災害リスクに備えることができます。この地域では雨量が何mm、風速が何mを超える場合に注意喚起をするべきなのか、地域ごとに具体的に対応できるのです」(橋本氏)

「暮らす森」のステイハウスでは体験宿泊も可能とのこと。気象データを活用した、安全で快適な“森を間借りする暮らし”を体験してみてはいかがでしょう。

大和ハウス工業株式会社

大和ハウス工業株式会社

事業内容

戸建住宅、賃貸住宅、分譲マンション等の企画・設計・施工・販売、別荘地の販売など

特徴

森林住宅地「暮らす森」の安全管理に気象データを活用

導入事例をご紹介

導入事例の一覧へ

導入事例をご紹介します。関連業界における課題解決のヒントを見つけていただける内容です。ぜひ記事をご覧になり、ご検討の参考にしてください。

日本シイエムケイ株式会社

工場への雷接近を高精度でモニタリング、瞬低データ解析に基づく落雷リスク通知で停電対策の判断スピード向上

日本シイエムケイ株式会社

業界

施設・工場

規模

1001〜5000名

サービス

ウェザーニュース for business

株式会社星野リゾート / 星のや京都

嵐山の旅館と上流の河川周辺の大雨・浸水リスクをいち早く共有、船の運航や休館を迅速に判断

株式会社星野リゾート / 星のや京都

業界

施設・工場

サービス

ウェザーニュース for business

三井住友トラストグループ株式会社

気候変動による太陽光発電事業への財務影響を分析、未来の災害データを活用したプロジェクト推進が可能に

三井住友トラストグループ株式会社

業界

施設・工場

サービス

ウェザーニュース for business

東武ワールドスクウェア株式会社

テーマパークの安全対策にアプリ活用、大雪時のミニチュアの除雪や休園判断を最適化

東武ワールドスクウェア株式会社

業界

施設・工場

規模

51~300名

サービス

ウェザーニュース for business

長島観光開発株式会社 / ナガシマリゾート

イベント向けのお天気アプリ導入で、花火大会やハロウィンの安全・快適な運営を実現

長島観光開発株式会社 / ナガシマリゾート

業界

施設・工場

規模

1001〜5000名

サービス

ウェザーニュース for business

株式会社TEN-PO

たき火やBBQの実施判断に気象IoTセンサーを活用、キャンプ場の風速の変化をリアルタイムに監視

株式会社TEN-PO

業界

施設・工場

サービス

ソラテナPro