3月22日(日)頃にかけて、アメリカ(米国)西部・南西部では季節外れの記録的高温が続く見込みです。気温は平年を11~17℃上回り、各地で3月の観測史上最高気温を更新する可能性があります。この広範囲の熱波は、航空運航への影響も懸念されています。特に、高温による最大離陸重量(MTOW)の制限が主要空港で発生する可能性があります。
気象概況
今回の記録的な高温は、上空の偏西風が大きく蛇行し、アメリカ西部・南西部が強力な高気圧のリッジ場となることが主な要因です。その結果、南からの夏の暖気の流入に加え、高気圧の停滞により晴天が継続し、強い日差しが地面を熱し続けることで、季節外れの暑さを引き起こす可能性があります。
特に、ロサンゼルス国際空港、ハリー・リード国際空港、オークランド国際空港では、過去10年間(2016年~2025年)の同月の最高気温と比べて5℃以上高い気温が予想されているため、運航への影響に警戒が必要です。
西部主要空港(一部)の気温予測
| 空港名 | ロサンゼルス国際空港 | ハリー・リード国際空港 | フェニックス・スカイハーバー空港 | サンフランシスコ国際空港 | オークランド国際空港 | サンノゼ国際空港 | サンディエゴ国際空港 | サクラメント国際空港 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 所在都市 | ロサンゼルス | ラスベガス | フェニックス | サンフランシスコ | オークランド | サンノゼ | サンディエゴ | サクラメント |
| ICAO/IATA | KLAX / LAX | KLAS / LAS | KPHX / PHX | KSFO / SFO | KOAK / OAK | KSJC / SJC | KSAN / SAN | KSMF / SMF |
| 18日(現地時間)予想最高気温(℃) | 33 | 35 | 38 | 28 | 31 | 33 | 32 | 30 |
| 19日(現地時間)予想最高気温(℃) | 35 | 37 | 40 | 28 | 30 | 33 | 33 | 30 |
| 20日(現地時間)予想最高気温(℃) | 33 | 38 | 40 | 28 | 26 | 33 | 29 | 30 |
| 過去10年間(2016年~2025年)の3月の最高気温(℃) | 28 | 33 | 37 | 28 | 26 | 29 | 31 | 30 |
なぜ「地上気温の異常な高温状態が航空機運航を直撃するのか?」
気温と航空機の最大離陸重量(Maximum Take-off Weight)との関係。
一般に、外気温が高くなるほど空気密度は低下し、離陸推力は弱くなります。そのため、離陸可能な重量も小さくなります。 したがって、気温が低いほど離陸時の余裕は大きくなります。
一方で、外気温が30℃後半(36℃以上)になると、その変化率(逓減率)は急激に大きくなります。 このため、通常時でも最大離陸重量に近い状態で運航している機種や路線においては、気温の上昇は重要な運航阻害要因となります。 さらに、異常な高温状態になると、より多くの機種や路線で運航への影響が拡大する可能性があります。
主な影響と対応
- ペイロード(Payload)の削減
搭載可能重量の減少により、以下の対応が必要になる場合があります。
・空席があっても、搭乗可能な旅客数を制限する
・貨物室に空きスペースがあっても、搭載可能な貨物重量を削減する
このような対応は、多くの路線で発生する可能性があります。
- 燃料搭載量の削減
以下の関係式が成り立ちます。
Allowable Payload = Max T/O weight - Aircraft Operating Weight - T/O Fuel Weight
最大離陸重量が低下しても機体重量は変化しないため、ペイロード(旅客+貨物)または燃料、あるいはその両方を削減する必要があります。
通常時より燃料搭載量を減らす方法として、主に以下の3つがあります。
①余分な燃料を搭載しない
※ただし、悪天時には適用が難しい場合があります。
②直行運航を取りやめ、途中空港で臨時着陸し給油を行う
③リクリアランス方式(Reclearance Flight Planning)による運航
いずれの方法も運航への影響が大きいため、通常はペイロード削減が優先されます。
- 運航時間帯の変更
気温の観点では有効な対応となる可能性がありますが、空港や空域の運用時間制限など、別の制約が発生する場合があります。

























